私事であるが、このたび那須にある別荘地を管理する一般社団法人の理事となった。別荘地といっても、その呼称は55年前に開発・分譲された際から続く呼称であり、現在では、420程度の住戸のうちの多くは住民票を持った定住者で、私のように別荘利用する利用者は半分にも満たない。私が理事に就任したのは、それらのオーナーが会員となって別荘地を管理するための一般社団法人である。
私は10年前からその別荘地を利用させてもらってきたが、これまではその運営管理には全く関心をもたずに、ただただ便益を享受していただけだった。しかし、あらためて理事という役を引き受けてみると、これまで知らなかった先人たちの尽力の偉大さを強く感じることとなった。
新米の私が担当を託されたのが「広報」で、その役割は、年4回発行されているという《会報》の発行を担うことである。先日、就任後初めての広報部会に参加した。「部会」といっても、前任の広報担当理事が理事退任に伴って広報部長となり、広報担当の職員と私を含めて3人の会合。表題は「10月発行号の編集」となっていたが、実のところはこれまでの業務の流れを私に説明して業務引継ぎを行うことが主要な目的だった。
じつは、その前日には「水道についての勉強会」という会合があって、55年前の分譲開始当初から全戸に供給している専用水道の施設や管理運営の仕組みを、新理事として学ばせていただいた。「水道の供給」は生活にとっては必須不可欠なインフラであり、そもそもこの別荘地の開発・分譲が可能になったのは、管理地の中に井戸が発掘されて水源が確保できたことが端緒となったともいえるからだ。それを高々400戸程度の居住者が独自に管理供給していることも大きな驚きなのだが、それを公共水道と同程度の(少し高い)各戸負担で成し遂げているというのも大変なことなのだろうと感じ入った。
どういうことかというと、安心な飲み水を安全確実に確保・供給するためには、十全なお金が必要となる。掘った井戸から必ず水が出るわけではないし掘っても水が出なければお金は無駄になる。水に不純物が混じったら飲用には使えないので日常の水質検査も必要だし、目詰まりの解消やポンプの洗浄のための定期的な井戸洗浄も欠かせない。安価な鉄製の配水管なら錆も出てくるし、安定して水を供給するためにはくみ上げた水の貯留槽を常時きれいに保つことも必要なので、定期洗浄や補修のためには予備施設も用意する必要がある。普通は、行政にお任せの水道を、水源確保から貯水・配管設備管理までのすべてを自主的に行っているというのだ。
お金に糸目をつけなければ、断水のリスクを減らして十分な水を供給することは、地下水に恵まれた那須の地では不可能なことではない。でも一方で、居住者にとっては、水道代は安いに越したことがない。というよりも、「水道施設の維持にお金がかかるから値上げをしたい」と提案しても、そう簡単には賛同が得られないのだ。
これは、道路の補修や清掃等も含めた共益施設の設置管理に関しても同様であり、基本的には快適な環境を維持するためにはお金がかかるけれども、居住者にとっては管理費が上がることは喜ばしいことではない。
さて、私が担当する「広報」に話を戻すと、そのような別荘地管理の課題をオーナーや居住者の皆様に正しく理解して(分かって)いただくことが大きな使命なのではないかと察しがついた。そして、私に説明してくれた前任理事(広報部長)は、「コミュニケーションの重要性」に着目していたようで、理事としての在任期間中には、ただ単に「管理センター・理事会からの通達」という役割ではなく、「意見交換=コミュニケーション」に力を注いだのだという。もちろん、発行している《会報》には「公告」という役割もあるので、どうしても理事会側からの「広報」が中心機能となる。例えば、「水道の仕組み」などを理解してもらうためにページを割くこともその一つだ。でも、そのような「広報」だけではなく、その別荘地が抱える諸問題についての「意見交換会」を開くとか、夏祭りなどの行事を担うボランティアを募集したりなど、住民同士の交流が生まれる仕組みを作ることに尽力してきたということだ。
そのような話を聞きながら、最後に「10月発行号の編集」に話が転じることとなった。
もちろん、これまでの経緯をろくに知らない新人が、いきなり新提案をしても混乱を引き起こす恐れもある。かなり慎重に発言したつもりだったのだが、もしかしたら(たった3人の中でのことに過ぎないとはいえ)新しい気づきが産まれる端緒となるかもしれないし、逆に混乱を引き起こす元凶になってしまうかもしれない。
この続きはまた後日…。(続)
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男