今月のウエルネスウォークでは、「門前仲町から川沿い遊歩道と緑道を廻って木場公園へ(5.9km)」を歩いた。
毎回、参加者にはコースの地図を配っているのだが、そのタイトル下に記したコース案内の中に「大横川左岸→平久川左岸→」という記載があった。
3月20日のウォークでのこと。集合箇所での待機中に、とある参加者から「左岸とはどういう意味か?」との質問を受けた。
私もうかつ、というか全く気にしていなかったのだが、突然の質問に、
「左岸とは川の上流から見た左側のことです」
と答えた。
そもそもが、江東区(深川)のほとんどは江戸時代以降に埋め立てられた土地なので、山から海へと流れる「河川」というよりも「堀」や「運河」という方が良いのではないかと思うし、流れを特定できないのだとしたら「右岸/左岸」がどのように定められるのかということを、それまで全く気にかけていなかったのだ。
でも、そういえば「大横川」という名称は、木場から押上に向かうとき川辺を歩いたのではなかったのかなどと思い出しながら、どうして(江戸城から見て)「横」を向いている大横川が門前仲町では隅田川に向かって「縦」向きになっているのかと怪訝に思ったりした。
後ほど調べてみると、Wikipediaには以下のような記述があった。
》大横川(おおよこがわ)は、東京都墨田区・江東区を流れる運河。
》かつては流域により亥の堀川(いのほりがわ)や大島川と呼ばれていたが、
》1965年の河川法改正により大横川に統一された。
》東京都墨田区の業平橋付近で北十間川から分流し南へ流れる。…
》江東区木場付近で西に流路を変え、大横川南川支川を分流し、平久川と交差する。
》江東区永代で大島川西支川を合わせ、その先で隅田川に合流する。
なるほど、そういうことなのだ。
つまり、スカイツリー前の業平橋から南に「流れる」大横川は、木場付近で「西に流路を変えて」隅田川に合流するということ。
結局のところは「運河」なので、「流れる」というのも奇妙なのだけれど、河川法の規定の中で、北から南へと流れる隅田川に合流する支流のような扱いで「流れ」が定義されて、その結果として「右岸/左岸」が定められたというわけ。
3月ウォークのコースは、スタート直後に大横川の南岸を東に向かって進むので、定義上の上流に向かって「左岸」を進むことになるという事なのだ。
こんなことを確認してはいなかったけれど、
「左岸とは上流から見て左側」=「下流から見る(歩く)と右側が左岸」
ということだけは確信していたので、私たちが歩いているコースは、歩く方向から見ると右側。すなわち、「上流に向かって歩いている」ということになる。
そんななか、いつもコースにこだわりを表明してくれるO氏が、コース途上で立ち止まって川面を見つめながら、
「先生、水の流れを見ると、こちら側(進もうとしている方向)が下流に見えます」
と教えてくれる。
「満ち潮で逆流しているのではないでしょうか?」
と、あくまでも私は「左岸」という表記にこだわって反論する。
こんどは太陽を見つめたO氏は、
「そうか今は満ち潮なのか」
と納得してくれた。
私は、太陽の位置を確認して潮の満ち引きを判断するというO氏の見識に驚愕したのだけれど、何事も疑いながら確認する態度は、見習わなければいけないなぁと、あらためて感じ入った次第である。
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男