昨日配信した通信では、魚住サロンで学んだ「中間位の探り方」について述べた。
足がつかない高さでの椅坐位で、手のひらサイズのポリマットを太腿の裏と表(前面)に当てて、上から当てたマットを左右に細かく動かしながら膝下(下腿)が自然と振動するポジションを探り、そのまま膝関節の細かな伸展屈曲を繰り返す。すると、徐々に筋の緊張がほぐれて「太腿とふくらはぎの張りが消えてプリプリになった感じ」が得られるようになったのだった。
つまり、
「関節と筋肉を中間位に保持して関節を動かすと自然体になる」
という原理に従って「緊張がほぐれて弾力(プリプリ感)が得られる」ということになる。
なるほど、この手技を会得すれば、私のふくらはぎを柔らかくすることが可能になった。まずは「めでたしめでたし」というわけ。
ところで、上記の処置によって、私のふくらはぎの「張り」が弛んで「プリプリ」になったわけであるが、よくよく考えてみると、私のふくらはぎは、そもそもいつも「張っていた」ということ。
では、なぜ私のふくらはぎはいつも「張っていた」のか?
「身体の状態は生活環境や動かし方の帰結(適応現象)である」
という原理がある。
つまり、「ふくらはぎが張っている」という状態があったとしたら、私の生活動作の中で「ふくらはぎが張るような動き」が繰り返されているということ。
これまでのようにお風呂に入ってふくらはぎを良く揉んで柔らかくするように処置しても、上述のように「中間位技法」でプリプリにできたとしても、寝て起きて一日過ごせばまた元に戻る。
このような処置のことを「対処療法」という。
風邪をひいたら風邪薬(解熱剤・消炎剤)、膝に痛みを感じたら消炎シップというように、私たちは「対処療法」になじんでいるけれど、それは本当の治療ではない。
私の「ふくらはぎの張り」は、私の生活動作が原因なので、その原因を解消しなければ本当の問題解決とはならないのだ。
そこでまた、厚かましくも魚住先生に尋ねてみた。
「ふくらはぎがいつも張っているのですがどうしたら良いですか?」
すると、「歩き方が悪いのでしょう」と即答。
ふくらはぎが張る(負荷がかかる)のは足首を使っているから。
難しく言うと、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)は足首(足関節)を底屈する(蹴りだす)働きがある。歩くときに足首を繰り返し蹴っていると、ヒラメ筋がこわ張って横に張り出してくる。それに対して、足首をあまり動かさずに足先(拇指)で蹴るように意識すると、最も深層にある長拇指屈筋が働くので、腓腹筋・ヒラメ筋がこわ張らないように歩けるとのこと。
平たく言うと、「足先(拇指の尖端)を意識して歩く」ようにすれば、ふくらはぎの筋肉をあまり使わずに歩けるということ。
もちろん、どこかを「意識」して歩けば、バランスが崩れて様々なひずみをもたらすので、なるべく自然(無意識)にそれができるようにならなければならない。
その後、少しずつ試している。
もとより、「中間位」を意識して「状態」が整ってきたら、それが「正解」ということ。自分の身体(中間位)を意識しながら、そこに向かって整えようと試行錯誤を繰り返すことしか、今の私にはできない。
指示された対処法を繰り返すことが無意味であることは言うまでもないが、原因を指摘されて「正しい動作」に取り組もうとすることもまた、対処療法と同様だ。
この世に「正しい動作」などというものは存在しない。敢えて言うならば「良い結果をもたらす動き」があるだけ。
自分の身体がどのような状態なのかを知ること(=自分の身体に向き合うこと)の大切さを学んだことが、今回の魚住サロンの大きな収穫だった。
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男
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