ワクチンの接種が本格的に進んでいる。
2月から「医療関係者」への接種が開始され、4月に「高齢者向け」の準備が始まったころは、「欧米に後れ」とか「課題山積」というような否定的な報道しかなされていなかった。また、高齢者接種が本格的に始まった4月末から5月初旬にかけても、「予約が取れない」とか「予約券が届かない」などの苦情報道がつづいていた。しかし、5月24日に「大規模接種会場」でのモデルナワクチンの接種が始まると、一気に潮目が変わった。
それでも「キャンセルで廃棄されるワクチン」とか「ワクチンはあるのにスタッフが足りない」などの問題が指摘されることはあるが、なにしろワクチンは余るほどあるので、都道府県での大規模接種とか職場接種などと、次々と接種機会が拡大されていく。
菅総理は、「1日100万回接種」「7月末までの高齢者接種完了」という目標を掲げたが、おそらくこれも、かなり順調に目標達成されるのではないかと見込まれる。
もちろん、一方で懐疑的な報道も続くので、「どうなるかしら」とか「本当にオリンピックはやるのだろうか」などと戸惑う方も少なくないと思うが、フィットネスを提供する主体者としては、そんなことに構っている場合ではない。
本当に「安心できる世の中」が近づいているのだ。
その時、フィットネスはどうなっているのか?
もし、まだ「人々が安心した状況でどのようなフィットネスを提供したらよいか」という方針が定まっていない方、あるいは「ようやく元に戻る」などと安心している方がいたとしたら、7月以降の「新たな時代」には適応できないといっても過言ではない。今は、「方針」どころか「具体的な対策」を実現に移す時なのだ。
6月中旬から「職場接種」が始まり、中高齢者のワクチン接種が進んでいけば、ステイホームの高齢者も健康づくりの場を求めて歩みだす。「7月末に完了するとは限らない」などと悠長なことを信じていてはダメ。もちろん、「7月末までの高齢者接種完了」という目標は完全には達成されていなかったとしても、少なくともほとんどの(接種を希望する)高齢者は「1回目」のワクチンを打ち終わっている。
またそもそも、フィットネスを志向するような健康志向の方々は、いち早くワクチン接種を終えようとして、市区町村で予約が取れなければさっさと「大規模接種会場」に向かっている。そのような「積極的健康志向者」は、安心できる時が来るのを今か今かと待っているのだ。
こういうときこそ、「次のメッセージ」を受け入れる心持ちになるのだし、そこに「心に響くフィットネスメッセージ」を提供できるかどうかが、新しい時代を開拓できるかどうかのカギになる。
間違ってほしくないのは、「元に戻るのではない」ということだ。
新たな時代に求められるフィットネスは、2年前までのフィットネスと同等ではない。「コロナ禍」というのは、ウイルス感染による直接の被害もあったが、ステイホームによる健康二次被害も甚だしい。なにより、マスクなどの他者の振舞いに対する敵愾心や政府の対応に対する不満などに起因する自家撞着化(抑うつ化)によって、精神的にほとんど壊れている方も散見される。
以前のクライアントが戻ってきたとしても、その方は以前の方と同一ではない。もし直接に話を交わせるチャンスがあったら、「大変でしたね、お変わりありませんか?」などと、その方がこの1年間どのように過ごしてきたのかを尋ねると良い。
新しい時代のフィットネスは、クライアントの悩み解決から始まるのだから。
(JWIコネクトに連載中。閲覧はアプリから→ https://yappli.plus/jwi_sh )
[…] 16 新たなフィットネスの夜明け~「ワクチン接種」に備える […]
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