先月(3月)の初め。
月が替わって2~3日は何となく違和感を覚える程度だったのだが、4日(木)には《右上の奥歯》が痛むことに気づいた。食事中に右奥歯で咀嚼すると、上奥の歯茎に激痛が走る。おそらく、無意識のうちに左側だけで咀嚼するようになっていて、ときどき右側に食物が移動する際に激痛を感じたのだろう。二日後の土曜日には、激痛を恐れて「そっと噛む」ことしかできなくなって、食事自体を味わうことが難しくなってきた。
その間、ひたすら原因を考える。もちろん、右上奥歯の歯茎が痛いのだから「歯槽膿漏」なのだろうと勘ぐった。
「でも、どうして歯槽膿漏に?」
「どうやったら治る?」
「もしかして、親知らず?奥歯を抜くとか?」
と、いろいろと思いめぐらせたうえで、月曜日にかかりつけの歯科医に電話。症状を告げて予約を取る。
「いつ頃お越しになれますか?」
と尋ねられたので、
「今日でも良いのですが、なるべく早く」
とせかしたのに、
「11日(木曜日)の昼は如何ですか?」
と悠長な回答。
もちろん、否も応もなく、その予約を優先しなければならない。
なにしろ、痛いのだから。
さて、待ちに待った《木曜日》。
その歯科クリニックは、15年ほど前に近所の豆腐屋の隣に忽然と現れた。若い歯科医師が交替で担当して年中無休。平日は20時まで診療。3台の診察台をフルに使って、数名の歯科技師たちがてきぱきと動く様に感心して、時々通っていた。といっても、いつも歯石を掃除するだけだったので、そのうちに通わなくなり、最後に受診したのは、2017年の8月だった。
「久しぶりですね」
と、おそらくカルテの記録を見て言われたのだと思うが、
「4年前の夏でした」
と、答えたからと言って、べつに褒められるわけではないのだけれど、あの時は、「もう歯医者に通わなくても良いな」と自信満々だったことを思い出して、少し気が小さくなった。
それはさておき、レントゲン撮像と問診・触診を経て、歯科医が行ったのは、右下の奥歯をわずかに削っただけ。奥歯の間に紙をはさんで噛んでみる。噛んだ跡がつくかつかない程度まで(ほんの少しだけ)削ったところで終了。
「歯槽膿漏気味ですが、少し様子を見ましょう」
とのこと。その日の夕方には、嘘のように痛みがなくなって、右側で食事を噛んでもあまり痛くはない。それでも、しばらくは左側だけを使っていたのだが、次に受療した17日にはほとんど痛みがなくなり、左右どちらで噛んでいるかも気にならなくなった。
その後、30日、4月6日と3回にわたって歯石を取り除いて、今回の治療は終了。
3月当初には少し揺れていた右上奥歯も、今は、すっかりと固定されて動かない。
「3か月後に(歯石除去に)来てくださいね」
と軽く言われて、予約を取った。
それからは、例えば新聞を読んでいるときなどに、ふと気づくと《奥歯を食いしばっている》ということに気づく。しらずしらずのうちに奥歯に過剰な力が加わるようになったことが原因だったようだ。
今回の《治療》は、右下奥歯をほんの少し削っただけ。そんなことで痛みが消失するのだから、「嚙み合わせ」というのは不思議なもの。「切る」だとか「抜く」などといった野蛮なことをしなくても、歯の力の配分に無理がなくなれば、身体が勝手に治してくれるということだ。
原因と解決策は、意外なところにあった。
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男
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