WWNウエルネス通信 (2月14日):「歩き方講座~驚愕の大発見:その2」

》「右、左、右、左」と言ったら(足が)出てきて…。

と言いながら「動き」を見せてくれた方の歩みは、

 「右」の声で「右脚」を、「左」の声で「左脚」を前に出していたのだった!!

1月24日に行われた「品川健康講座」の最終回。(前回記事はこちら)

「歩き方を育てる」と題して進められた講座の休憩中に、その「大発見」があった。

「何が発見?」といぶかしく思う方もいるかもしれないので、あわてて解説すると、

本来、「歩く」という移動動作は、「身体が前に進む」ということを成果とする所作である。「身体が前に進む」ための原動力になっているのは、足裏が地面から受ける力。

 だから、「歩く」ときに重要になるのは、前に出す側の足なのではなくて、地面からの力を受けて身体を前に進める側の足。それなのに、「右」という声に反応して動く右脚は、《後ろ向きに地面を押す》のではなくて、《前に振り出す》ように反応するということ。

 おそらくは、多くの日本人(もしかしたら西洋人も)にとって、歩きの基本は「脚が前方に振られること」と思っている方が多いのではないのだろうか、ということに気づいたのが、私が驚愕した「大発見」だったのだ。

 そうなのだ。私たちの多くは、身体を前方に進めるために地面から力を受ける支持脚よりも、実際に前方に進む(進める?)脚の方に意識が向いているのではないか?

 そこで、実際に皆様がどのように意識しているのかを、「緊急アンケート」させていただいた。結果は、97人中85人(87.6%)が、右足から歩く際に前に出すのは「右」と回答した〔「左」が11名、「どちらとも言えない」が1名/性・年代の影響なし〕。予想通りに、大多数は「右脚を前に出す」、つまり、私が品川講座の休憩時間中に遭遇した「右・左」という声に合わせて「右脚・左脚」と足を前に運んだ方の意識は、日本人の大多数の抱いている共通意識といえるだろう。

 この設問は「右足から歩くときに前に出るのは《左・右》のどちら?」と尋ねたので、戸惑った方も多かったようだが、実のところは、「右足から歩く」と意識したときの「右脚」が、前に出るのか後ろに送られるのかという「前・後」の意識を問いかけようとしたものだった。だから、「右」と回答した方は、「歩くときには足が前に出る」という意識に支配されているのだろうし、「左」と回答する方は「歩くときには足を後ろに送る」と意識しているのだろうと想定していた。

 ただ、「右」と問いかけながら「右と左のどちら?」と尋ねたころで、戸惑った方もいたようだ。わざわざ私の問いかけの意味を質問してくださる方もいた。

「歩く」という動作を、「脚が前にでる」と感じるのか「脚を後ろに蹴りだす」と感じるのかは、「歩き方」を支配する大きな要素になる。

 じつは私も、このことに気づくまでは、「右足から歩くのだから右が前に出る」ということを疑っていなかったので、当初は「ほとんどの方が《右》と回答する」と思っていた。だから、「左」と回答する方が少なからず存在したことが意外だったのだが、それでも、多くの方々は《脚が前に出る》という意識で歩いていることが分かった。

 《脚が前に出る》という意識で歩いていたとしたら、「歩く」ということが「脚を前方に振り出す動作」と誤解してしまう可能性もあるし、前に出した足の踵から着地することによって、前進のブレーキとなる(後ろ向きの)力を地面から受けて膝や腰にわざわざ負担を強いる歩き方をしてしまう原因なのではないかと思い至ったのであった。

 実のところ、歩く身体を前に進めているのは、足裏が接地している支持脚(に受ける地面からの力)。それなのに、「右」と言って歩き始めるときには「右脚が前に出る」のであって、「右足裏から力を感じる」という感覚では歩き始めないということなのだ。つまり、

  • 「歩く」という動作で「右と左の脚」を意識するとき、歩きを実現する支持脚の側ではなくて、前方推進には関わらない反対脚(遊脚)を意識するということ。
  • そしてそれは、私も含めて大多数の日本人(もしかしたら欧米人も)が抱いている共通感覚だということ。

これは、今の私にとっては大いなる「驚愕」だったのだ。

(続)

Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男

http://wasedawellness.com/

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