年末(27日)に、ふと思いついて、自宅(文京区)から岩槻まで30kmの道のりを歩いた。
その物語は別のところで述べるとして、ここでは、長距離ウォークを初めて体験したときの思い出と、久しぶりに歩いた私の足(身体)に起こった変化について述べたい。
私が、いわゆる長距離ウォークを初めて行ったのは、1998年11月のこと。その年から、研究の一環として「ウォーキング教室」を始めたので、その縁で、巷で流行っていると言われていた“ウォーキング大会”にも参加してみようと思ったのだった。
東松山で開催された日本スリーデーマーチ。といっても、初日(11/1)だけの日帰り参加で、最も短い「10kmコース」。6時出発の50kmコースから始まって、30km(7時出発)、20km(8時出発)と進んだ最後の9時に、松山第一小学校の校庭で出発式を行って順次スタートする。その日は、4コース合わせて2万6千人が各々のコースを歩いた(3日間の延参加者数は8万1872人)とのこと。
ゴール間近の1kmほどは、すべてのコースが合流する。混みあった道をゆっくりと進みながら、別のコース(たぶん20km)の参加者から「何キロコースですか?」と尋ねられた。私が「10kmです」と答えたところ、
「20km以上がウォークなのよね」
などと教唆されたことがとても印象的だった。
10キロといえば、一般人からしたら「そんなに歩くの?」と驚くような距離。それなのに、「10キロはまだまだ物足りない」と感じるウォーカーがいるということ。つまり、スリーデーマーチに参加するウォーカーと一般人とのあいだには《壁》があるということを感じたのだった。
それはさておき、途中でトイレ休憩などを挟んだとはいえ「10km」の連続歩行は、当時の私にとっての初めての体験。
ゴール会場には「足のケア(相談)」のテントもあって、
「なるほど」
と感心したのを覚えている。
私はというと、両足裏にまめができていた。まあ、相談するほどのことでもないと自宅に戻ってから自分で手当てしたのだが、心地よい疲労感とともに、「足裏にまめができる」という貴重な体験も加わって、印象的なイベントとなった。
その後、初めての「ウォーキング教室」の研究成果を翌年春のウォーキング学会で発表したところ、恩師の宮下先生(東大名誉教授)や日本ウォーキング協会(JWA)役員の方々が、(研究成果ではなく)私が仲間に加わったことをとても喜んでくれて、翌年からJWAの専門講師として講習会等に参列するとともに、スリーデーマーチにも3日間フル参加することになった。当然のことながら、初心者向けの「10kmコース」というわけにはいかず、「20km」を歩くことになったのだが、10kmを超えてしばらくすぎたところで、これまで経験したことのない身体の違和感に遭遇した。
足裏にまめができたことを歩きながら感じ、途中休憩で脱いだシューズを履きなおしてしばらく進むと、左足裏のまめが《つぶれた》。前年の体験を踏まえて「まめの手当てセット(水抜き用の針/消毒液/バンドエイド)を携帯していたので、ゴール後に手入れして翌日に備えた。
翌日は、最初は快調だったものの、10km手前で右足裏と右膝にも違和感。おそらくは、左足をかばって右足荷重の歩き方をしていたのだと思う。3日目には、右膝の痛みに加えて左腰にも違和感を覚えるなど、“痛みの連鎖”が起こることを初めて体験したのだった。
その後、日本全国で行われている「ツーデーマーチ」に何度か参加するとともに、距離も徐々に伸びて、3年後の夏には、オランダ・ナイメーヘンでの「フォーデーマーチ」(ウォーキング大会の原点ともいわれている100年以上続く大会)で4日間連続50km(計200km)を完歩するとともに、早稲田大学の「本庄-早稲田百キロハイク」にも6年連続で参加(完歩)するようになったのであった。
(続)
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男
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