WWNウエルネス通信 (12月9日):「7年前の脳梗塞」

今回は私の話。

 じつは、私は7年前の9月に脳梗塞を患った。

 朝起きてトイレに座っていたら、胸から上が徐々に右に傾いていく。自分では元に戻すことができず、右壁に両手をついてなんとか身体を支える。小用を終えたところで、右手は壁を支えながら左手で着衣を戻し、トイレの扉を開きながらそのまま崩れるように床に這いつくばる。両手と両足は動くのだが、どうにも頭を持ち上げることができず、床を這いながらベッドに戻る。

 しばらく(30分ほど)休んだら動けるようになったので、着替えずそのまま食卓に座り朝食。ところが、その後の洗面時にまた立っていられなくなって、食卓へ移動して座位休憩。しばらくすると今度は吐き気。あわててトイレで嘔吐し、そのまましばらくベッドで休憩。2時間後にタクシーを呼んで救急外来へ向かう。私は「脳梗塞ではないか」と訴えたのだが、問診・触診で異常が認められず、「飲みすぎでは?」と点滴を受けて返される。その後、様々な変遷を経て6日後の夕刻にMR画像から左小脳部位の梗塞痕が見つかった。

 その後も「原因究明」を続け、発症から3週間後に行きついた東京医科歯科大学病院・脳神経外科外来(その指示によるメディカルスキャン御茶の水)のMR検査によって、当該部位に血液を供給する後下小脳動脈(PICA)に動脈解離痕が見つかって、そこに溜まった血栓が一時的に当該部位の血液供給を遮断(脳梗塞)したと推定された。

 それにしても、私が知ることのできた事実は、「PICA動脈の不整」と「白く映った(梗塞痕と推定される)小脳部位」の、いずれもMR画像だけ。その「報告書」には、

 「左PICAに不正な拡張像、限局的な解離と考えられます。」

 「(左小脳下部内側の)梗塞の責任所見としても合致する所見です。」

と記されていた。

 通常の脳梗塞であれば、その部位の機能が失われ、そこが司っていた身体機能に麻痺をもたらすのだが、小脳の場合は、残された領域が直ちに機能を補ってくれるようで、最初にMR画像で発見されるまでの徒手検査では見過ごされていたとのこと。救急外来から数えて3件目のクリニック(最初のMR検査を指示した医師)では、

 「(機能が補われる)小脳で良かったですね」

と、奇妙な言い方で慰められたのが印象的だった。

 それはさておき、発症から2か月後(11月)と8か月後(2014年5月)にMR撮像して、同じ状態を維持していたことから、「診察終了」となった小脳梗塞事件で、私にとっては再発の恐れも抱くことなく、徐々に思い出す機会も少なくなっていたのだが、思わぬところで《出会う》こととなった。

 その発端は、先月行った《筋膜》の勉強会。

 筋膜マニュピレーションのスペシャリストであるPT(理学療法士)の吉田篤史氏をお迎えして、去る11月5日に「筋膜マニュピレーションの実践技法」と題して、WWN特別サロンを開催した折に、その最後で、私が過去の「小脳梗塞」の話を取り上げたのだが、終了後に講師の吉田氏が、

「身震いしました」

と、驚きの言葉をもらしたのだった。

(続)

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