ところで、前回記事を配信した7月5日は、熊本で大雨洪水災害の被害が報じられた日であった。夕方7時のニュースでは、被害の様子がトップで報じられ、政府の緊急対策本部の会議の様子も映されたのだが、会見する安倍首相の画面を見て私は驚いた。マスクをせずにしゃべっていたからである。ぐるっと映された参加者のすべてがマスクを着用していなかった。
テレビのニュースを見るのが久しぶりだったので、安倍首相がいつからマスクをせずに会見に臨んだのか(いつからマスクを外したのか)は定かではないが、調べてみたところ、菅官房長官がマスクをせずに会見したのは7月1日のことだという。つまり、政府は今月に入ってからは「マスクをしない」という姿をテレビに映すことを容認していたというわけ。
もちろん私は、必要に迫られないとマスクをしないと決めているので、“マスクなし”を解禁した政府の姿勢をとても好ましく思うのだが、先週述べたように、投票所の受付から立会人に至るまですべての担当者がマスク着用で、投票箱と立会人の間がビニールで区切られるという異様な姿と対比すると、いったいいつまでこんな茶番を続けているのだろうとあきれてしまったのも事実。総理も官房長官も、感染予防パフォーマンスが無用であることを、もっと国民にアピールするとか、せめて行政諸機関に周知するとかくらいしても良いのに(このままでは政府がつぶれるかも)と、歯がゆく感じた次第である。
それはさておき、この週末は、私が運営責任を担っている学会(日本スポーツ産業学会)の年次大会を開催した。もちろん、オンラインでの開催なのだが、当初は5月に予定されていたものが「7月に延期」となり、さらに「オンラインでの開催」ということに落ち着いたのが5月下旬のこと。参加申込者に対して「キャンセル可」の連絡したのを皮切りに、zoomライセンス契約とその運営テスト、発表者へのマニュアル作りなど、様々な準備のすべてが初めてのことで、運営スタッフも含めて緊張が続いていたのだが、昨日午後に無事に終了して安堵していたところだった。例年であれば、当日の受付で配っていた大会プログラムも今回は郵送だったのだが、それがどうやら「最終日に届いた」とのこと(私の分はどうやら大学に郵送されたよう)で、苦笑する話題もあった。
そんな中、私がコーディネートしたセッション(座談会)でのアシックスの尾山会長の言葉。「ショップや施設は全くだめだがオンラインが伸びている/チームスポーツが振るわず個人のスポーツが伸びるだろう/世界中でeコマースが伸びていて、シューズや自転車の売り上げも増えている」。なんと、「余った時間でエクササイズの機会を増やす人がいる=シューズなどの用具のニーズが高まる」ということは、言われてみればその通りなのだが、ウォークの参加者が激減している状況の中ではなかなか気づかなかったことだ。
激変する世の中で、衰退する(滅びる)ものもあれば、伸びる(成長する)ものもある。マスクを着けるかどうかという生活習慣もさることながら、オンライン時代にどのように適応できるのかということも、未来に生き残るための鍵となるのだ。これは組織の話だけではなく、私個人(一人ひとり)にとっても大切な教訓なのだと思う。
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男