前回、「食べ過ぎると太る」という原理についての疑問を述べた。満腹感を通り越してお腹が痛くなるほどにカレーライスを食べたのに、翌日(同時刻)の体重が増えていなかったのだ。
ところで、その“翌日”の帰宅時に、酒屋の店先に売られていた“ポテトチップス”の山を見て、「これを食べ出すと太るのかしら?」と思い至った。もちろん、カレーライスのように多量に食べ過ぎることはないだろうけれど、今の私がポテトチップスとかフライドポテトとかを好きになったとしたら、きっと今よりも太るのではないかと考えたのだ。つまり、世の中には「太りやすい食品」と「太りにくい食品」とがあって、「太るか太らないかは、食べるカロリーだけではなく食品の種類によっても異なる」ということだ。
じつは、これは常識である。ポテトチップスなどのような“揚げ物”や、ナッツなどの“おつまみ”は、脂肪分含有量が多いので、同じ分量を食べても摂取カロリーが多くなる。炭水化物食品については、食後の血糖値の上昇率(GI:グリセミックインデックス)が高いほど太りやすい。玄米や蕎麦のGI値は55程度だが精白米やうどんでは85、食パンでは95と高くなる。つまり、「何を食べるか(好むか)ということによって太り方が違う」のだ。
こんな当り前のことを述べて、結局何が言いたいのかというと、じつは、「食べ過ぎると太る」というのは、多くの人が疑わない(よく当てはまる)理論ではあるのだが、森羅万象古今東西に普遍的に適合する“原理”というわけではないということ。
つまり、川が山から海に流れるように、雨が地面に落ちるように、“あらゆる物が下に落ちる”という現象は、“万有引力の法則”で説明できる“原理”である。しかしながら、「食べると太る」というのは、多くの人が当り前に感じていることではあるものの、そのようにならないケースもあるので、“原理”というほどに普遍的な法則とはいえないのだ。
“だからどうした”と言いたいかたも多いと思うのだが、「運動すると痩せる」とか「運動すると認知症になりにくい」という理論は、「食べると太る」という理論よりも(適合しないケースが多くなるという意味で)“原理”からは程遠い理論なのだということ。ましてや、「運動すると健康になる」なんていう理論は、言わずもがななのである。