先に、「外反母趾は歩き方に原因が」ということを話題にした(9月16日配信)。
私の「歩き方」は、私の父親譲りのようで、あるとき私の妻が私の実家で兄貴が小走りする姿を見て私にそっくりだと驚いていた。父親の歩き方と似ているとも感じていたようであるが、兄弟で歩き方がそっくりだというのは父親譲りの遺伝の影響なのだろうか。親子で顔が似るのだから、骨格(アライメント)が似かよるというのももっともな事で、「骨格が似れば歩き方が似る」ということなのだろうか。
それはさておき、「遺伝」と対比するのは「環境」ということになるのだが、最近では環境によって誘発される“生活習慣”に着目することも多い。和室(畳と座卓)の環境では座る様式は正座か胡坐(あぐら)だし、西洋式(椅子と机)の環境ではもちろん椅子やソファが食事や読書やテレビ視聴の身体姿勢を生み出す。日常の履物(例えば靴と下駄など)によって足の骨格アライメントも違ってくるのは当然で、いわば生活様式が骨格アライメントを形成するといっても過言ではない。
20年ほど前から流行っている“生活習慣病”という言葉は、主として食生活と運動習慣に注目して内部疾患やメタボなどの原因として指導矯正されることが多いが、外反母趾だって変形性関節症だって歩き方やその基盤となる骨格アライメントには生活様式・習慣が影響するのだから立派な生活習慣病であろう。もちろん“遺伝”の要素も大きいのだが、心疾患や高血圧だって遺伝の影響が大きいことは周知のことであり、遺伝的要素は変えられないことなので、(これから変えられる対象として)“生活習慣”に注目しているだけなのだ。そう言えば、様式便座にウォッシュレットという生活様式の下では痔にはなりにくいだろうし、もしかしたら感染症を除く大抵の疾患が生活習慣病といっても良いのかもしれない。
最初は外反母趾から始まって腰痛・膝痛・肩こりなどと主に姿勢や骨格アライメントに起因する症状から考察していたのだが、水虫や巻き爪だってフットケアの重要性が叫ばれているし、歯周病だって口腔ケアの生活習慣の所以だろう。ならば、鎮痛剤やシップなどの対症療法だけではなく、そのような症状をもたらした原因となる生活様式や習慣に目を向けたほうが良いのではないか。最近の医療は(手術なども含めて)対処療法が盛んなのだが、おそらくそれは患者一人ひとりの生活様式や習慣動作に目を向けるのが困難だからなのではないかと思う。
もっともっと、“原因”に目を向けたい。
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