WWNウエルネス通信 (2025年10月30日):「那須まで歩く(25)石橋を越える挑戦」

さて、自治医大駅で大いなる思いをめぐらした私だったけれど、その後は淡々と歩き続ける。大きな交差点の300mほど前に「この先300m」と表示された青い案内標識を見つけると、その通過時刻を記憶して交差点到達時点の時刻をチェック。その間が3分30秒だと86m/分だし、4分だと75m/分ということになる。「この先300m」の青標識を見つけるたびに実施していて、さすがに3分半では到底到達しなかったのだが、ある時4分20秒だったときがあって、それを真に受けると分速65m以下ということになる。さすがに、「距離表示は本当なのか?」という疑問をいだいた。よくよく考えてみれば、時速数十キロで走る自動車から「この先300m」という標識が見えたとして、その距離が10mほどズレていたとしても、運転手にとっては全く関係ない。標識板は道路左側の歩道上に立てるので、設置しやすいおおよその場所に立てているのではないかと勘繰ったりした。あとで算定したこの区間の平均速度は80.4m/分だったので、「この先300m」として表示された距離は、もう少し長かったようだ。

思い返せば、そんなことを考えるということは、よほど退屈していたのではないかとも感じるのだが、「淡々と歩く」というのはそういうことなのかもしれない。皆とウォーキングをしている時には、一緒に歩く人とよくおしゃべりするし、周りの景色や交通にも目が留まるのだけれど、一人での長距離ウォークにおいては、前回記した「下野市役所庁舎/自治医大駅」のような大きな謎にでも出会わない限り、目に留まる光景は(興味を沸かせるものではあっても)「刺激的」とまではならないからだ。

ところで、この区間では大きな決断が必要だった。というのも、8月のダメージを経て、「次のステージで無理してダメージを膨らませては、その後の計画が破綻してしまう」との懸念から、「いつ/何キロまで」歩けるのかという、回復状況を見据えることも、今回の第4ステージの確認事項の一つで、そのチェックポイントが15km地点の石橋駅だったからだ。もちろん、22kmを歩くという目論見で小山駅をスタートしたわけであるが、石橋駅入口交差点の手前にあるコンビニでトイレに座ってみて、足裏の血液の充満を感じる。その後、立ち上がって店内を歩き、ペット飲料を購入して店を出る。この間9分の休憩。道に出て、交差点を渡るところで最後の決断をした。つまり、「雀宮駅まで向かう」という決断である。

残り7km弱。石橋駅には目もくれずに、雀宮駅を目指して国道4号を歩く。

相変わらずの「ゆっくり」ペースで淡々と歩みを進める。北関東自動車道をくぐると、雀宮までは2.6kmほど。GoogleMapによると、その先1kmで右折することになっているので、間違わないようにと目を凝らす。といいつつ、最終チェックポイントの大型スーパーを左手に見る交差点(残り2.2km地点)でGoogleMapでの到着予想時刻を表示すると、ちょうど雀宮駅での電車の出発時刻と同じだった。遅れたとしても、次の電車を待てば済む話なのだけれど、なんだか「ぎりぎり乗り過ごした」となると後悔するかもしれないと思い、少しペースを上げることにした。と、同時に、この「頑張り」がどの程度の速度アップにつながったのかということを確認(実験)するチャンスだとも目論んだのだった。

もちろん、ここまでの20kmほどを「ゆっくりペース」で歩んできたわけだから、いきなり「ペースアップ」といっても、急にペースが変わるわけでもない。だけれども、この「頑張り」は、足裏には確かな「負担」として降りかかる。この確かな「実感」を覚えながら、最後の2kmを歩いた。結果として、目標電車時刻の7分前に駅に到着。

後に計算したところ、それまでのペースは分速80mだったわけだけれど、最後の2kmのペースは分速84mに上がっていた。普段の街歩きの分速は90mほどだ(小山駅からの歩き始めも90m/分だった)し、スタスタと歩けば100m/分を超えることも簡単なのに、20kmの「ゆっくり歩き」を経た後では「頑張った」としてもこの程度なのか。それがわかったということも、今回の那須歩き(第4ステージ)の成果の一つだった。

ちなみに、最後の2kmをそのままの80m/分ペースで歩いたとしても、2分遅いだけで、所定の電車時刻の5分前には到着していたようだった。

(この項終わり)

Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男

http://wasedawellness.com/

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