WWNウエルネス通信 (2025年10月19日):「那須まで歩く(22)シミュレーション・ウォーク」

さて、そういうわけで、第4ステージの行程を、当初の「小山~宇都宮30km」から「小山~雀宮22km」に短縮したのだが、そこに至るまでには紆余曲折があった。

そもそも、小山~宇都宮(第4ステージ)を8月31日に歩いて、9月27日に宇都宮~那須塩原50kmを一気に完歩しようとしていた最初の構想が無謀だということは、8月の那須滞在中にうすうすと認識していたし、計画の大幅な変更は必須だった。

最初に取り組んだのは、残りの行程(小山~宇都宮~那須塩原80km)をどのように歩くのかという計画の再構築。お盆の来客が終わった8月16日からの1週間は、(歩くことがそもそもままならないので)一日中パソコンのGoogle Mapに向かって、様々なシミュレーションを重ねた。

その結果として、「小山~那須塩原の80kmを3つの区間に分ける(当初の構想では2区間)」ということはすぐに決まった。その候補としては、

【Aプラン】

(4)小山~雀宮22km/(5)雀宮~氏家23km/(6)氏家~那須塩原31km

【Bプラン】

(4)小山~石橋15km/(5)石橋~宝積寺27km/(6)宝積寺~那須塩原38km

であった。

どうして、二つのプランを策定したのかというと、歩けるようになったとして、次のステージで無理してダメージを膨らませては、その後の計画が破綻してしまうとの懸念から、「いつ/何キロまで」歩けるのかという、回復状況も見据えながらのシミュレーションとなったのだった。最悪の場合は「那須歩き構想の断念」ということさえ覚悟していた。だから、「15km歩ける自信がついたときにBプランから始めるか」あるいは「22kmを歩けるようになるまで第4ステージを延期するか」という二つのシナリオが、各々のプランの前提となっていた。

ただし、例えば、宇都宮~氏家間は、線路が大きく東に迂回していて、宇都宮~岡本~宝積寺と、宇都宮線に沿って国道4号線を歩くよりも、宇都宮線からは離れて県道125号線をまっすぐに歩いた方が大幅に(2kmほど)距離を短縮できるので、宝積寺駅を経由するのは、歩く距離の観点からは負担が多くなる。

さて、そのようにして、さまざまなルートを検討しながら、面白いことに気がついた。というのも、出発地と目的地を設定してGoogleMapに表示されるルートが実際に歩けるのかどうかということを確かめるために、その(あやしい)地点の様子を「ストリートビュー」で確認するのだが、その際、表示された画面の左右前後をクリックすることで、画面上で位置を進めながら前後の道路状況(どのように歩けるか)を確認することになる。それをずっと続けていると、あたかもその道を(車で)進んでいるように感じられたのだ。私が見ているのは左右の歩道なので、さすがに「歩道上を歩く」感覚には達しないのだけれど、歩く道に沿って風景をなぞることができるような気がした。

そこで、出発地点から目的地点に向かって設定した(提示された)ルートに沿って、ストリートビューで順々に画面を進めていくと、なんだかその道を歩いたときに見える光景を画面上で見ているような錯覚が得られたのだった。そのスピードは「1クリックで10m」ほど。クリックを続けると、稲が実った田んぼが、あるところで突然に冬の枯れた田んぼに変わったりと、異なる季節の景色が現れたりする。また、あるところで突然それ以上は進まないようになって、逆側から戻ってきて、そこ地点から再スタートしたりする必要もある。それでも、おおよそ、上記プランから導かれた小山から那須塩原までのルートのすべてを、ストリートビューで予習することができたのだった。

もちろん、8月16日からの一週間、歩けなくてパソコンに向かうだけの時間を費やしたからできたことなのだけれど、もし本当に私が歩けなくなったとしたら、パソコンだけで全国各地の街道を歩きつくすという楽しみも残されているかもしれないと、感じ入ったのだった。

もしかしたら、「那須歩き」もこれだけで完了?

とすると、次に考察しなければならないのは、このパソコンシミュレーションウォークに比べて、実際のリアルウォークにはどのような利点があるのかという問題だ。

(続)

Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男

http://wasedawellness.com/

コメントを残す