WWNウエルネス通信 (2025年9月14日):「那須まで歩く(18)津波の影響の吉凶」

さて、小山駅を17時29分に出発した湘南新宿ラインのボックス席を占有して、間々田、野木と、歩いてきた線路際の路を思い出しながら眺めていると、あっというまに古河駅に到着。古河駅で人が少し乗り込んできたものの、ガラガラ状態は変わらず。利根川の鉄橋を渡りながら、左手に見える朝方歩いて渡った利根川橋を眺めながら、「電車だとあっという間だなぁ」と、改めて便利さを実感しながら「もうすぐ東鷲宮に着いてしまうのだなぁ」と感慨にふけりそうになったところで、栗橋駅に到着。

が、いつもの上りホームではなく、これまで使ったのを見たことのない2番線(下りホームの反対側)に入線。いぶかしく思っていると、

「この電車は、しばらく栗橋駅に停車します。発車予定は不明なので、お急ぎの方は1番ホームの上野東京ラインにご乗車ください。」

とのアナウンス。どうやら、津波の影響で湘南新宿ラインは運行停止となっているとのこと。

ホーム乗換(歩くこと)を避けるためにわざわざ直通電車にしたのに、こんなところでわざわざ跨線橋を渡って上りホームに乗り換えるなんて無理。と、そのまま車内に残る。ついでに、靴下も脱いで履き替えたのだが、水泡(マメ)は、両足共にかなり大きくて、普通に歩くとつぶれてしまう恐れがある。水泡の様子を見るためにも、車内に残ることが正解だと納得する。

そうこうしながら2本目の上り電車を横目で見ながらやり過ごしたころには、

 「湘南新宿ラインは現在すべて止まっています。この電車も出発の見込みは立ちませんので、1番ホームの上り電車をご利用ください」

とのアナウンスが繰り返される。

最初のアナウンスで、ほとんどの乗客は乗り換えたけれど、何人かはそのまま14号車に残っていた。が、気づいたころには14号車で姿を確認できたのは、私の他には1人だけ。

 4本目の上り電車を過ごしたころには、アナウンスも途絶えて、もしかしたら冷房も止められたのかもしれないと思える空気だった。そろそろ潮時かと心を決めて、恐る恐るに靴を履く。なんとかよぼよぼと歩きながらホームに出たところで、車内に残っていたのはもしかしたら私一人だったのではないかと気づく。近くのエレベータを使って跨線橋を渡り、1番線上りホームに移動。ホームの自販機で9本目のボトルを購入して、次に来た18時44分発の上野東京ラインで帰途に就いた。

結局、栗橋駅に滞在していたのは1時間ほどで、小山駅でボックス席に座って靴を脱いでから90分ほど休んだことになる。

思い起こせば、間々田駅を15時20分に発った時には出現していなかった足裏の水疱(マメ)が、90分後の16時50分に発生していた。そこで急性に出現した水泡は、30分ほどの古河駅での休憩、さらに90分ほどの電車内での休憩の間に、靴を脱いだ状態で安静放置された。

この急性期の120分程度の安静が、その後の足裏の治癒に良い影響を与えるのかどうか。本来ならば、きれいに洗って安静にしておきたいところだけれど、自宅までの1時間超の「靴中縛り」はどうしても避けることができない。途中、赤羽駅・池袋駅での構内移動と茗荷谷から自宅までの800mをよぼよぼと歩いた。この辛さの中で、電車内ではすべて座ることができたというのは、唯一の救いだった。

もともと、「那須まで歩こう」と思い至ったのは、首都圏直下地震などで交通機能がマヒした際の緊急移動手段を確認したいとの衝動が発端だったのだけれど、その準備の途中で津波(による運行停止)の影響を受けるというのも皮肉なことと、奇妙な感傷に襲われた。

(続)

Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男http://wasedawellness.com/

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