というわけで、7月30日(水)7時30分。那須までの第3ステージ(東鷲宮~小山:30km)に向けて、自宅を出発。気温34度、湿度71%の晴天は、その日の熱射を覚悟させた。8時48分に東鷲宮駅に到着。その日二度目の排便を済ませ、9時2分に満を持して、東鷲宮駅東口を発った。
歩き始めて1kmほど過ぎたところで、嫌な予感がした。印刷持参した地図では、そのまままっすぐ進んで、その先を道なりに右に曲がることになっているのに、数百m先で道路が左に折れている。道の先にはフェンスがあって、まっすぐには進めない。急いでスマホを取り出して、東鷲宮から古河までのルートを検索。ルートを拡大すると、そのフェンスの手前100mほどが「まっすぐ」ではなく、わずかに右にズレている。もっと拡大すると、その「左折地点」の100m手前で道路を右にはみ出して、フェンスを越えたところで「左折」、すぐに「右折」と示されている。さすがに、駅から1kmしか進んでいないところにこのようなトリックが潜んでいるとは露とも思わず、ストリートビューでは確認していなかったのだ。
とはいえ、フェンスにさえぎられる前に「嫌な予感」がしたことで、ルートを誤ることなく進むことができたのは、これまでのステージでGoogleマップの精緻さを痛感してきた賜物だと安心したし、なにより周りに広がる稲穂の実りが、心を癒す。
歩を進めて中川を渡るころには、あたり一面は稲穂の実り。周囲にめぐらされている水路と共に、ここら辺一帯は、利根川の水利で古くから稲作が栄えていたのだと感じさせる。とともに、地名由来の鷲宮神社の存在も、利根川の氾濫鎮守や豊作祈願の証なのかもしれないと思い至った。
さて、東武日光線の踏み切を渡ると、右手にうっすらと電車車両が見える。いわずとしれた「栗橋車両基地」。日比谷線と半蔵門線からは南栗橋行の直通電車が、時々走っている。
思えば遠くまで来るものだ…。
と、感傷にふけって道を外してはいけないと、正面に見える「ライフ」の看板を目標にまっすぐ進む。最後に「えっ」と驚く無舗装の路地を歩くと国道に出た。あとはここを左に進めば利根川橋に出るはず。というか、事前に確認していたように、すぐ先の国道125号とのT字路交差点から先は、国道上に歩道がなくて、利根川側の側道を進むことがわかっていたので、次の交差点信号で国道を渡る。と、地図をよく見ると、実は、先ほど進んだ「無舗装の路地」は、実は歩むべき道ではなく、その手前を左に曲がってこの交差点に至る道が提示されていたことが発覚。慎重に歩いていたのに、本日初めての「道の踏み外し」。まあ、余計に歩いた距離は50m程だったので、気にせずそのまま進む。
予定通り、国道125号とのT字路交差点で、右に進む側道を見つけた(というか歩道がなくてまっすぐには進めないのでいやでも見つかる)。が、おそらくは普段はほとんど人が通らないのだろう。両脇の雑草が茂っていて、とても歩きにくい。数百m進むと利根川堤防下の路と合流したので、そこから利根川堤防上を目指した。数十段の階段を登りきって堤防上に出ると、思った通り、堤防上は見晴らしが良くて、風はなかったけれど気持ちが良い。登りきる直前にあずまやを見つけたので、しばらく休憩することとした。
(続)
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男