先月(9月8日)に開催された魚住サロンでの話。
魚住サロンは、身近に起こる身体の諸問題について、魚住先生の見立てを教示いただきながら対処法を学ぶ、WWN正会員の研修会である。
最近では、参加しているメンバーの身体症状を取り上げて、その原因と対処法を研鑽している。
今回も、最初は、常連メンバーに前に出てもらって、本人も気づいていない問題を指摘して研鑽が始まった。その事例が終わった後、誰も手を挙げないので私から、
「最近足がむくんでいるのですが…」
と、話題を提供した。
すると、魚住先生は、前日に会ってきたという、知り合いの方の症状について解説を始めた。足首が膨れるほどにむくんでいたとのことで、リンパの流れを整えたら、元気になったのだという。その後、私の足と下腿を観察。すぐにふくらはぎを触り始める。くるぶしから膝方向に軽くさする動きを繰り返す。さらに、仰臥位になって膝裏と鼠径部を圧迫。腹腔下部とみぞおちと進み、最後は頸下(胸鎖関節)を触る。
椅子に座りなおして、私自身で左肩を動かす。直角に曲げた肘を肩と同じ高さに挙上(手は肘の前方に)した状態から、肘を挙げたり下げたり、肘を前後させたり、肘を大きく回したりしてみる。その際、左鎖骨の内端(胸鎖関節に接する部位)に私自身の右手指を添えながら左肩関節の動きに合わせて鎖骨の内端が動くかどうかを確認するのである。
続いて、私の鎖骨と肋骨の間に魚住先生が自身の指をあてて肋鎖靱帯を押し込む。鎖骨下の静脈角が、リンパ管から心臓への戻り口になっていて、肋鎖靱帯の緊張を緩めることでリンパ液の戻り(流れ)を円滑にすることができるということのようだ。足や下腿に溜まったリンパ液は、ふくらはぎをさすったり膝裏や鼠径部に加圧することで腹腔へと流れていくが、最終的な心臓への戻り口を確保することによって、体内の各所に溜まっているリンパ液が心臓に戻りやすくなって「むくみ」が軽減されるというわけ。
そこまでは、私の「足のむくみ」の話だったのだけれど、今回の気づきはその後。
じつは、肘(肩関節)を動かしながら、魚住先生は肋骨の動きも観察していて、
「肋骨が固いですね」
と指摘する。
もちろん、肋骨自体の《骨の固さ》ではない。肋骨を動かして胸郭を開いたり閉じたりする筋肉(肋間筋)がうまく作動できなくて、胸郭の《動き》が《固い》ということなのだとすぐに理解した。それとともに、《あること》に合点がいった。
肋骨(胸郭)が動くことによって「胸式呼吸」が進む。その動きが固い(鈍い)ということは、胸式呼吸がうまく働かないので、私が無意識のうちに行っている呼吸は横隔膜の動きによる「腹式呼吸」が担っているということ。
先に申し述べたように、8月に「しゃっくりによる呼吸困難」が発症したのだが、しゃっくりが発生するのは横隔膜が痙攣するから。横隔膜が痙攣してしまったら、無意識での腹式呼吸ができなくなる。そのとき、胸郭が動いて胸式呼吸ができていれば良いのだけれど、そうでなければ、呼吸が止まってしまって、徐々に息苦しくなってしまうというわけ。
幸いにもその後は「しゃっくり=横隔膜の痙攣」は発症していないのだけれど、突然に起こった呼吸困難感の原因の一つが「肋骨・胸郭の動きの固さ」だということに合点がいったのだ。
鎖骨の動きも、肋骨の動きも、普段は全く意識していなかったが、私の身体に起こる症状の原因が、意外なところに関係していたのだと気づいたことが、その日の収穫だった。
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男