WWNウエルネス通信 (2022年11月20日):「呼吸」の重要性

先週の日曜日。恒例の「魚住サロン」を開催した。

今回のメインゲスト(対象者)は、神田の居酒屋店主A氏。

2020年7月下旬に「左骨盤粉砕骨折(大腿骨が埋没)」。手術後3か月の入院(リハビリ)を行い、11月下旬には店を再開したものの、営業初日に転倒して動けなくなった。

その後も時々、足や脚の痙攣発作が生じて、閉店後に全身痙攣を起こした際には救急搬送されたりもしていた。直近では11月3日(祝)に自宅で痙攣発作が生じて、2時間ほど痛みに耐えていたとのこと。店の切り盛りと家族の介護も加わり極度の過労が原因だということは、本人もわかっているのだが、コロナ禍で営業できなかったあおりもあって現在自転車操業を続けている。

 そんなA氏を前にして魚住先生が指摘したのが「慢性的な筋疲労」に加えて「呼吸が足りていないのではないか」ということ。2年前の骨盤骨折の退院後に、十分なリハビリ期間を経ずに立って(動いて)仕事を再開したのも、現在まで続く痙攣発作の遠因になっているとも指摘した。

 左脚をかばってしまう状況で、右足に過重負荷をかけたままの動き方が標準になってしまったために、全身の筋バランスに狂いが生じたかもしれないとのこと。

 早速、いつものように肩から体幹を触って関節を動かしながら、緊張をほぐしてバランスを整えていく。途中で「息を吸って~吐いて」と呼吸をさせていたのが印象的だった。

ざっと整ったら「歩き方」を指導。その後、上半身を脱衣して肋骨の左右脇下に幅広伸縮テープを張って呼吸指導。さらに「歩いて」みると、本人曰く、

 「すっとしてきた」

とのこと。

 これで終わりかと思いきや、ここからが意外な展開。

服を着なおして座った状態で前頭から鼻にかけてハンカチをかぶせて「顔前面」を触り始める。正確にいうと、両眼の間にある鼻骨と前頭骨のつなぎ目を開いているとのこと。ハンカチの上からしばらく触って(たぶん動かして)いた。それが終わって立位で「鼻呼吸を3回」やってもらうと、A氏は「全然違います(鼻から息が通るようになった)」とのこと。

 さらに、「前頭骨」と「頭頂骨」を触って左右の「側頭骨」との間を動かすようなしぐさを続けたところ、左右の頭頂骨の傾きの違いがなくなっていた。

 「頭の形が変わる(整う)」

という体験を私はしたことがなかったのでびっくりした。でも、「鼻骨と頭頂骨を開いて鼻から息が通るようにする」という操作も、実は頸から肩にかけての緊張を解いて呼吸をしやすくするための前操作だったようだ。その後、「耳」の穴や周りをマッサージしながら頭蓋骨全般(前頭骨・頭頂骨・側頭骨・鼻骨・蝶形骨)の形を整える(ように私には見えた)。

 結局のところ、「足脚の痙攣」という問題症状の原因の一つとして、「筋への酸素供給不足」という可能性を診たてて、

 1)肩から体幹の緊張をほぐして、

 2)歩き方を整え(ふくらはぎや大腿への血液循環を良くする)、

 3)肋骨の可動性を高めて肺呼吸をしやすくして、

 4)頭蓋骨を整えて鼻からの空気の通りを良くし、

 5)頸から気管支への気道が狭まらないようにした。

ということなのだろうか。

終わったときには、サロンの前とはずいぶんと違った(楽な)感覚にA氏は至っていたようだった。

でも、

 「今はうまく整っても、明日起きたらまた以前の状態に戻ってしまう」

というのはよくある事。

 「明日以降、気を付ける動きはあるか?」

と私が尋ねたところ、以下の二つの動きを教えてくれた。

 a)立位から腕を上方に挙上して、体側を伸ばす運動(ラジオ体操の身体を横に曲げる運動のような動き)

 b)前方台に手を置いた状態で、つま先(足指)で身体を前方に動かす運動

おそらく、

 「a」は肋骨の可動性を高めて呼吸しやすくすることが目的で、

 「b」は普段の動きで下腿深部の筋を働かせてふくらはぎの負荷を和らげる目的の運動なのだと思う。

 もちろん、魚住先生は様々な思惑で身体を調整して動きを指導しているのだろうし、私自身にはその極意の全貌を理解することができないのだけれど、このような活動を重ねることしか私の研鑽を深める手だてがないので、これからも続けていきたい。

※次回の魚住サロンは「2023年1月8日」です。

Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男

http://wasedawellness.com/

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