本日は品川講座のため、朝9時過ぎに大崎駅を降りて新馬場にある品川健康センターまで歩いた。南口を出て進行方向にしばらく進むと、左手から右手方向に新幹線が進む。ちょうど品川駅を出てすぐの地点で、先週の神戸出張の車窓の光景が思い浮かんだ。先週この地点を通過した折には、この「目黒川」は見過ごしていたのだけれど、確かに、その先の多摩川を渡る直前の光景をあの窓から眺めていたのだ。
ところで、その新幹線は東京(品川)駅から新横浜方面に向かっているはずなのに、私が先ほど降りた大崎駅に向かって進んでいるようにも見える。さっき降りた湘南新宿ラインとは西大井からは上下に並行して走る(たぶん先ほど私が乗ってきた電車をどこかで追い越す)はずなのに、私が進もうとするガードの上を左から右に(山手線沿いに)進む姿を見ると、進行方向が真逆に見える錯覚が奇妙だ。
それにしても、以前も書いた気がするが、大崎から大井町・西大井までのエリアは、山手線・湘南新宿ライン・りんかい線・横須賀線/新幹線・京浜東北線/東海道線が錯綜していて面白い。そして、大崎から新馬場までの目黒川沿いの道は、それらすべての電車を目に留めることができるので、見ていて楽しい。今日も、品川から新宿に向かう成田エクスプレスに遭遇して、感銘を受けた。というのも、成田エクスプレスは、東京駅からは下り新幹線と並走して横須賀線を走りながら、私が目にした目黒川のガード上で横須賀線から分かれて大崎駅に向かい、そこからは新宿湘南ラインの下り電車と反対方向に進むのだ。
なんと、さっき私が「真逆」にみえた「錯覚」を現実のものにする。
トポロジカルな位相反転!
これまでに、この「大崎~大井町・西大井エリア」の周縁は、ウエルネスのウォークで何度か歩いたことはあったが、この「旧国鉄トポロジーエリア」を歩くことはないだろうなぁ、などと考えたりした。なにしろ、なまじっかの鉄道ファンであったとしても、そんな鉄路の「位相反転」に興味を抱く人など少ないだろうから。
もし、興味があったとしても、線路の上を歩くわけではないので、そもそもウォークのコースが成立しない。
それはさておき、私が今朝降りた大崎駅のホームから、「湘南新宿ライン」の電車に乗ったとしたら、西大井の駅で横須賀線に合流して、新幹線の下を並走して多摩川を渡る。しかし、もし「りんかい線」の電車に乗ったとしたら、大崎の次は大井町で、その先は天王洲アイルからお台場を経て新木場へと向かう。全く同じホームから乗車するのに、うっかり間違えると全く違う場所に連れていかれるということ。
人生にも同じようなことがあるような気がする。
昨日は、早稲田大学スポーツ科学部のAO入試があったのだけれど、受験生の中には、たまたま高校時代に知り合った(紹介された)大学関係者が早稲田大学と知己があったというだけの方もいることだろう。もし、別の大学の関係者に先に出会っていたら、そちらに勧められたかもしれないのだ。もちろん、合格すれば早稲田に来てくれるだろうけど、不合格になったら別の大学に進む可能性も高い。
かくいう私も、今では「スポーツ科学」などと胸を張って言うのだけれど、大学に入った折は「工学部志望」。エンジニアというイメージしかなかったのに、ただ単に第3志望欄に「体育学科」と書いてしまったがゆえに、今がある。
もちろん、大学卒業時も「なんとなく大学院」に進学してしまったし、修士課程を終えた時も、助手を全うした時にも、転身の可能性もあったのに、幸運にも今の道に進む可能性が眼前に現れたという僥倖のたまものにすぎない。
もちろん、どのような人生であっても、私は、その人生に誇りを持って生きたと思うのだが、人知の及ばない大きな車両によって「連れてこられた」と考えることもできる。
ちょうど、品川講座を終えての帰り道。奥田さんが持っていたリュックサックに「Topologie」の文字。つい最近(2018年に)香港で生まれたバッグや装飾品のブランドとのこと。
人生の位相幾何学(トポロジー)について、考えを巡らせた一日だった。
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男