WWNウエルネス通信 (8月14日):「身体を緩ませる」

先月末(7月30~31日)、大学院の集中授業(実習)を行った。

「健康スポーツ指導法演習」と題して毎年夏に行っているもので、今年は「身体弛緩法」と題して、様々な実技実習を行った。

 「身体が弛緩する/身体を弛緩させる」という考え方自体は、「リラックス」という意味で使われているし、筋肉に関して言えば、収縮していない状態が「弛緩」であると思われているので、「弛緩法」などという命名に仰々しさを感じるかもしれないが、ほとんどの筋肉は使っていない(意識的に収縮していない)状態でもわずかに緊張しているし、筋肉を取り囲む結合組織(いわゆる筋膜)は、こわばった状態になって関節が動かしにくくなることも多いので、「弛緩」させることで身体の不調が改善することも多い。

 そのように、知らず知らずのうちに起っている「こわばった状態」をリラックスするように導く技法を伝授することが、今回の集中実習の目的である。

 じつは、WWNのコアメンバーである矢野さん、奥田さん、遊馬さんと4人で、「新たなフィットネス」という仰々しいテーマを掲げて、昨年末から何回か研究会を重ねてきたのであるが、こんな大それたテーマの指導体系が簡単にまとまるはずはないので、まずはその中核理論としての「弛緩法」に限って、その伝え方(指導技法)を今回の実習で披露しようと企図したのであった。

 首尾は上々で、二人一組での実習で、多くの参加者が「緩ませる」という感覚のとっかかり程度は感じてくれたようだった。

初日の午後は遊馬さんが担当したのだけれど、最後に、「不調を感じている方?」との問いかけに応答してくれた3人ほどに対して、遊馬さんが直々に「弛緩法」を施して、肩や腰の違和感を取り除いてあげたりもした。

 終了後に片付けていると、一人の参加者がおずおずと「私も診てもらえるか?」と申し出てきた。聞くと、膝が腫れて痛みがひどいらしい。

 社会人学生で、お仕事や生活上の原因で症状が発生したのではないかと推察された。

5~10分程度だと思うのだが、遊馬さんが腰から足までチェックして、打診したり押圧したり軽擦したりと手を尽くす。終わってみるとすっかりと痛みも腫れも引いていて、私も驚いたのだが、当人が一番びっくりしていた。

 もちろん、原因が日常生活の所作や動作にあるのだとしたら、痛みや腫れが復活する可能性もある。そこで、

 「これは対処的措置ですので、もし腫れや痛みが戻るようなことがあれば連絡してください。」

と、お願いしておいた。

 すると、1週間後の土曜日にメールが入った。

週明けから少しずつ変化して、8月4日(木)には、痛みとともに腫れも復活したとのこと。

ちょうど、来月11日にWWNの魚住サロン「からだが整っていないことに気づくこと~part2~」があるので、そこにお越しいただくことにした。

 私たちは、普段の生活の中で様々な姿勢や動きを繰り返している。筋肉が収縮したり弛んだりという繰り返しならば「休めば戻る」のだけれど、姿勢のアンバランスや、局所的な荷重の繰り返しによって、知らず知らずのうちに、不自然な「こわばり」が生じることがある。様々な個所でのこわばりが重なると、痛みや腫れの原因になることも多いのだけれど、こわばった場所に痛みを生じるとは限らない。

 その人によって異なる(特徴的な)動きや所作によって発生するこわばりや痛みの原因を突き止めて対処していくことが、これからのトレーナーに求められる技術になることは間違いない。

 私たちはこれからも、そのような技法の研鑽を重ねていきたいと思う。

Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男

http://wasedawellness.com/

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