先週、「茶話会」なる会合に参加した。
もともとは、「講演会を」と依頼されたのが発端だったのだけれど、高々数名程度のウォーク仲間が対象とのことだったので、仰々しく「講演」などとうたわずに「懇談程度で如何か?」と提案して実現した会合だった。
会場に到着するとすでに何名かが待機していた。用意された席に座ると、机上にペットボトルのお茶が置かれた。入り口側を見ると、女性陣がなにやら大きな袋から菓子袋を取り出して、銘々用の紙皿の上に分け始めていた。しばらくすると、各々の机上に、菓子で山盛りになった紙皿が置かれた。
「こんなに食べるのですか?」
と尋ねたら、
「余ったら持って帰ってください」
とのこと。
皆が揃った頃合いに、会の代表の方から、
「先生、何かお話を」
と促される。別に、話を用意していたわけではないので、
「皆さんはどのような話を聴きたいですか?」
と逆に質問しようとしたところ、入り口側の女性から、
「みかん大福が冷たいうちに召し上がってください」
と声がかかる。あわてて、皆がみかん大福に手を付ける。
そうなのだ、何も「お話を」などと構えなくても、食べながら話が沸いてくるのを待った方が良いのではないかと、思い直した。
「食べながら自由に話しましょう」
と、私から提案して、「茶話会」がスタートした。
すると、出てくる出てくる。
普段どのようなウォークをやっているだとか、ゆっくり歩くと鍛えられないからしっかり歩いたほうが良いのかとか、ウォーキングに関する話題もあったけれど、コロナで外食を控えていたらやせたとか、朝目覚めてから一日中酒を飲み続けた話とか、おおよそ私が想定しない話題に盛り上がった。
そのうち、私に対する質問がたくさん投げかけられるようになってきて、気が付けば1時間を優に過ぎて、私の机上のお菓子も半分以上なくなっていた。おそらく、ペットボトルのお茶だけでは、ここまで話が盛り上がらなかったのではないだろうか。「お菓子」の役割をしみじみと感じ入った次第である。
もしもこれがお酒(アルコール)の席だったら、別々の話が進んだり、しゃべらない人もいたりして、充実した対話は成立しなかったかもしれない。
私はそれまで、「茶話会」という会合に出たことがなかったので、このような形式の会合を「茶話会」と表してよいのかどうかはわからないけれど、「茶話会」という「懇談」も良いものだと思った。
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男