まず、本書は以下の16章からなる。
1.からだを動かすことについてどのように考えるか~理解できるか
2.頸部・体幹・骨盤を整える~頸部・体幹・骨盤を中間位に置く
3.上肢を整える~前腕回内位の修正と上肢の連動
4.肩甲帯を整える~肩甲骨・鎖骨・上腕骨の関係/肩甲帯の挙上と回旋
5.胸腰筋膜と殿筋筋膜のつながりを整える
6.大腰筋(腸腰筋)を活性化させる
7.骨盤帯(仙骨・寛骨・股関節)を整える
8.下肢のバランスを整える~距腿関節の背屈と下肢の連動
9.中間姿勢で立つために
10.適切な腕の動きで歩くことでからだを整える
11.四つ這いになる
12.全身を動かす
13.忘れてはいけない神経系のつながり~新たに気づいたこと
14.自分なりに現在行きついたところ
15.参考
16.付録
このうち、
- 1章は「序論」、
- 2~8章が、頸部-体幹-骨盤・上肢・肩甲帯・胸腰筋膜-殿筋筋膜・大腰筋・骨盤帯・下肢の各々について「各部位の整え方」を記した実践編、
- 9~12章は「姿勢・動きを整える」という観点からの実践編、
- そして最後の13~15章が「展望と気づき」
という構成となっている。
それゆえ、すでに本書の背景や前提知識が修得済みであれば、2~12章の各論のうち、各々の興味に応じて該当する箇所を読み解けばよいのであるが、そうでなければ、まず初めに「1章」をきちんと理解するところから始めるべきだろう。
ところが、1章とて、魚住先生ご自身の「気づき」が集約されたものであるから、まずはその背景と前提知識を理解しておきたい。
そもそもこのシリーズは、一昨年11月に魚住先生が入院した際に、ご自身のからだに生じた「変化」に気づき、そこから思索を巡らせて書き記した著作であった。
それらの「気づき」は、ある時あふれるように文字に著され、昨年(21年)6月末に「その1」、8月末に「その2」を脱稿し、それらをまとめる形で10月末に「その3」が書き上げられた。それらは、主として「考え方」が中心だったので、その「実技(手続き)」について抽出記述したのが「実践編」ということになる。
「実践編」にも、基本の考え方が記載されてはいるものの、それもまたきわめて簡潔。「その1」から「その3」まで、計540ページ(40万文字)超にまとめられた「考え方」が、100ページ程度の「実践編」を読むだけで理解できるはずがない。
しかしながら、最近の魚住先生の体験と気づきの経過を追いながら、各々をまとめた時点でどのような「考え方」が記述されたのかを探ることで、その「構造」がおぼろげながら見えてくる。