今朝、ラジオを聴いていたら流れてきた曲。
正式名称を「365日の紙飛行機」という。
6年前(2015年)秋のNHK朝の連続ドラマ「朝がきた」の主題歌として毎朝耳にしていた。そのころ私は、プサンに暮らしていて、耳にできる日本語がNHK衛星放送だけだったので、毎朝の出勤前(朝食時)に半年間聞いていたのだった。
》人生は紙飛行機 願い乗せて飛んでいくよ
》風の中を力の限り
》さあ 心のままに 365 日
というフレーズで、毎朝のドラマが始まっていた。
ところが、その年の暮れの紅白歌合戦で、AKB48がフルコーラスで歌ったのを聞いて初めて知ったのだが、「風の中を力の限り」と「さあ心のままに」の間に、
》(風の中を力の限り) ただ進むだけ
》その距離を競うより どう飛んだか どこを飛んだのか
》それが一番 大切なんだ
というフレーズが入っていて、「その距離」よりも「どう飛んだか、どこを飛んだか」が大切と歌うメッセージに、とても感銘を受けた。
Wikipediaによると「結果よりも過程が大切であるということが歌われている」とのことなのだけれど、やっぱりそこがポイントだったということ。
もしかしたら、普段の主題歌は何気なくメロディーを耳になじませて、フルコーラスで聞いた時に「挿入」されたメロディーと歌詞に心が留まる(注目させる)という、作詞者の秋元康さんの作戦なのかもしれないと思ったほど、巧妙な仕掛けだ。
それはさておき、このドラマは、「あさ」という主人公が、女性が抑圧されがちな時代に人生を切り拓いていく物語。子どもが大人になってひとかどの人物になるプロセスでは、「距離(成果)」だけを競うのではなくて「過程(生き方)」を大切にしようとする考え方は、今の時代には特に、とても腑に落ちる。
でも、70歳(あるいは80歳)を過ぎてからの人生においても、「どう飛ぶのか」「どこを飛ぶのか」ということを考えることは、同じように大切なのではないだろうか。
だれしも最終的には《死》というゴールで人生を終結させるのだけれど、「その距離」を気にすることよりも「どう飛ぶのか/どこを飛ぶのか」を考えて有意義に過ごす人生を過ごしたいと思う。
この歌は、
》飛んでいけ!飛んでみよう!
と結ばれる。フルコーラスでは3回繰り返される最後のフレーズは、ドラマ冒頭歌でも2回繰り返されていた。
もしかしたら、これもまた、
夢を描く若者向けのメッセージのように見せかけて、
本当のところは「高齢期を充実させるため」
に仕組まれた秋本さんの戦略なのかもしれないと思った。
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男