二週間前の日曜日(11月21日)。つまり、私が足の痛みを感じ始めた日。
私の妻は乗馬中に落馬して右尻を強打したとのこと。私はその現場を見てはいないのだが、「打撲」は右臀部で、落ちた後に右膝下部内側を馬に踏まれたとのことで、少々の擦り傷と腫れが認められた。
その日はさほどの痛みは感じなかったようなのだけれど、翌日から膝下の腫れが拡大して、火曜日朝には「右肋骨下部がへこんでいて少し痛い」と訴え始めた。
確かに左に比べて右脇腹が少しへこんでいるように見える。受傷箇所は右尻と右膝下だけなので、脇腹の痛みは受傷部とつながっている筋膜のねじれなのだろうとあたりを付けて、立位で背後から両わき下に手を差し込んで揺すってみたところ、「痛いっ!」と叫ばれた。
よほどひどい痛みだったようなので、慌てて手を放した。
「これは吉田さん(PT)に診てもらった方が良いね。」
と、クリニック(Medibody)の予約状況を見たところ、その週はすべて埋まっていて、翌週金曜(つまり、この記事を書いている2日前)まで空きがなかった。だから、そのまま「処置無し」で放置していたのだけれど、どんどんと酷くなっていったようで、その晩から寝ている時に突然叫びだすようになった。どうやら、寝返りした際に捻れて激痛が走るようで、しばらくは、寝起きの姿勢変化さえも激痛の叫びをあげる始末。
「もしかして心臓かも」と勝手に案じて医者に診てもらったようなのだが、検査しても異常なし。もちろん、骨折もないとのこと。私にとっては(心臓や骨に異常がないことは)当たり前に思えるのだけれど、どうしても「痛い箇所になんらかの異常がある」と思い込んでしまうようだ。
それはさておき、翌日曜日ごろまでには、なんとか痛みを起こさない動かし方を少しずつ修得しながら、それでも時々うめき声を出しながら、彼女の日々が過ぎていた。
そしていよいよ、落馬から12日目に「吉田PTの診察」。向学のために私も付き添って、説明を聞きながら処置をみていた。
まず最初に(もちろん経緯と主訴を問診した後で)、左側を下にして寝そべった姿勢で、足から肩までざっと触りながら観察。痛みの有無を問いかけながら、最初に手を付けたのが肩甲骨内側部(寝そべっているので下側)。左手で肩に手を添えながら右手の3指で軽く揉捏(筋と筋膜を緩める操作)。肩甲骨内側を下部まで少しずつ移動しながら揉捏を続ける。
そしていよいよ右肋骨下(脇腹)の《痛み》の箇所。
そこでは軽く手を添えるだけでしばらく様子を見ていたのだが、よく見ると添えた手がわずかに動いて(振動させて)いるようにもみえる。
「添えているだけですか?」
と尋ねたところ、
「痛みを感じているところなので、あまり刺激を与えずに様子を見ています。」
とのこと。
その後、ふくらはぎの腫れが少し落ち着いてきたこととか、足に移動した内出血の様子などを確認しながら、最後はベッド上で膝下を端から垂らした座位にさせて、背後から両耳上(こめかみ部)に軽く手を当てた。
どうやら、右肩から脇腹のコリは昔からの症状だったようで、それが落馬(右尻打撲)時に一気に緊張して痛みを生じさせたのだろうとのこと。
右臀部の打撲箇所には今回は処置せずに放置。打撲箇所や擦過・内出血箇所なども含めて一気に緩めてしまうと、その後にいたるところに激痛を生じさせる可能性があるので、今回の処置の結果をみながら少しずつ回復させていくことにした。
どうやら、「緩めればよい」という単純なことではないらしい。
筋膜の連結とバランスは、なかなかに複雑で難しい。
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男