先週の日曜日。WHOは、コロナウイルスワクチンに関して「免疫力の低い人への追加接種を推奨」という声明を発表した。これは、まだ全世界にワクチンがいきわたらない段階で先進国だけがワクチンを必要以上に消費することへの警鐘も含まれているのだが、私が注目したのは「免疫力」という言葉だ。
じつのところ、もうすぐ2年におよぶコロナ禍の対応の過程で、「免疫力」という言葉が強調されたことはほとんどなかった。
そこで、まずここで、私は断言したい。
・世の中には免疫力が高い人もいるし低い人もいる。
・免疫力が低い(弱い)人はウイルスに感染しやすいし重症化しやすい。
・一方で、免疫力が高い(強い)人はウイルスに感染しにくい。
ここまでは、あまり違和感なく読んでくださる方も、次の言葉に対しては、「バカげたこと」と一笑に付す方が多い。
・私(中村)は、絶対にコロナウイルスに感染しません。
実は私は、先週月曜日に、東京23区の保健福祉行政従事者(保健師・栄養士・歯科衛生士等)に対して「コロナ禍での健康づくり」と題して研修(講義)を担当した。その際、最後に上記を述べたのだが、皆一様に「何をバカげたことを」という顔をしていたのだった。
先月の本欄でも述べたのだけれど、私は品川区健康講座で「コロナに負けない身体づくり」と題する講習を行った。結論は「免疫力を高めましょう」という内容なのだけれど「コロナに負けない(感染しない)身体づくり」の指導を行う私自身が、その「身体」を作れてないのだとしたら詐欺に等しい。人々に対して「コロナに感染しない身体づくり」を指南する私自身が「コロナ感染」するなどということは決して許されない。というか、その自信がなくて、どうして他人にそれを推奨できるのだろうか?
いやしくも、健康づくりの仕事に携わるものであるならば「私は免疫力が強いので感染しません」と胸を張って言えないのだとしたら、そちらの方が罪深いと思う。
WHOは「免疫力の弱い人(waning immunity)」と表現しているのだけれど、ざっと見積もって「免疫弱者」は人口の3割ほど、逆に「免疫力が強い人(ウイルス感染しにくい人)」も3割ほど。この10年近く風邪もひかず発熱もなく、ワクチンも打たないのにインフルエンザにかからない私の免疫力は、間違いなくこの上位3割の「免疫強者」に入っていて、しかもその中でもトップクラスに相当するだろう。
さて、現時点でコロナウイルスに感染したことのある人は、世界で2.19億人(2.78%)、日本では171万人(1.36%)である。つまり、コロナウイルスに感染するのは、「免疫弱者」であり、日本人の中で免疫力が上位2%に入ると自負する私が感染する可能性は、限りなくゼロに近い。ただそれだけのこと。
だから私は、「コロナを怖がってウイルスに触れないように努力するのも結構だけれども、多少のウイルスに暴露しても感染・発症しない身体(免疫力)を付けることの方がよっぽど大切だし予防効果も絶大である」と人々に宣伝している。でも、その私の宣伝努力は、なかなか伝わらないというのが現実なのだ。
少なくとも私は、健康増進・保健行政に携わる専門家の皆さんには、「自分は絶対に感染しない」と胸を張って断言して欲しいと思うし、その技を人々に伝えて欲しいと心から願っている。
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男