本日は、品川講座の3回目。
表題のテーマで講話と実技を行った。
「長生きを愉しむ」という言葉は、3年前から私たちが謳っているフレーズで、昨年の品川講座でもこのテーマで講座を行っている。昨年来のリピータも多いので、同じ話をするわけにはいかない。奥田さんともやり取りしながらいろいろと思考を巡らせたのだけれど、結局のところ「何を話すか」ということが大切なのではなくて、「参加者がどのように感じるか」ということが重要で、
「長生きを愉しむためには身体づくりが大切~キーワードは《緩める》」
ということだけを伝えることを狙いとして、私の話をできる限り少なくしてみた。
終わってみると、ちょっと余計なこともしゃべってしまって、10分以上費やしてしまったのだが、その話の要旨は次の通り。
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「身体づくり」と言うと、「トレーニング=鍛える」という考え方が主流です。20年前に介護保険が始まった頃は、「高齢者の筋力向上トレーニング」というようなことが提唱されたりして、「介護予防のためにトレーニングしてください」と語られたこともありました。でも、これがなかなか辛い。何も長生きするためにつらい思いしなくていいじゃないかというところから、私たちのアプローチが始まりました。
そこで、「鍛える」のも良いのだけれど、「緩める」ことも必要じゃないかという考え方を提唱しました。「緩める」というのは「弱くする」ということじゃなくて「ほぐす」こと。「鍛える=強くする」というだけではなくて、「緩める=ほぐす」という考え方も導入して、それらを合わせて「身体を整える」。
だから身体づくりというのは、「鍛えて強くする」ということじゃなくて、「身体を整える=生活を整える」ということだと捉えなおしてみよう。そのように考えて、「緩める」という考え方をもっと推進していきたいと思うようになりました。
「鍛える」という身体づくりだけじゃなくて「緩めてほぐす」ということも含めて、気持ちを緩めてリラックスして、それでいて愉しめる。長生きを愉しめる身体をつくるために、今日の講座をスタートしたいと思います。
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その後の奥田さんの実技で、参加者のほとんどは「身体の緩み」を体感することができた。
中には、「腕を前に挙げることができない」と訴えていた方が「上がるようになりました」と喜んでくれたりして、各々に自身の体調の変化を感じてくれたようだった。
つまり、結局のところ、私の話がどのようなものであろうが、「身体を緩める」という体験が本日のすべての成果だったのであり、
「それで、どうやって長生きが愉しめるの?」
という問いには全く答えることはできないのだけれど、そもそもが「長生きを愉しむ」という表題自体が、人生を豊かにするための方法論なのだから、参加者の充実した表情が得られた悦びを大切にしたいと思う。
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男