昨日、神田で居酒屋を経営している知人のA氏から、連絡(ライン)があった。
「身近に初めてコロナ感染者が出ました。気を付けてくださいね!」
おそらくは、ラインでつながっている主要な知人に連絡しているのだとは思ったのだが、いつもの「お店のライン」ではなかったので、個人的連絡かもしれないと思って、次のように返信した。
「コロナももちろんですが、コロナ関連症状の被害が広がっていますので、お大事に。」
すると、
「コロナ関連症状とはどのようなものなのですか?」
との質問があったので、次のように回答した。
***以下、回答内容***
「コロナ関連症状」は、大きく、
- 心理的症状
- 社会的症状
の二つに区分できます。
1の典型は「コロナ鬱」で、ニュース報道の「感染者数」に(一喜一憂ならぬ)一憂一墳を繰り返し、怒りを表出したり他人にあたったりすることが、代表です。
「オリパラ」のような「生贄探し」でうっぷんを晴らすような対処行動(コーピング)は、問題解決にはつながらず、症状を悪化させる悪循環に陥る可能性が高くなります。
2の典型は、「差別」や「経済的被害」ですが、それよりも、上記の心理症状が「他人」に向かって「他人攻撃」に発展し、人間関係を悪くしたり社会的地位に瑕疵を生じる事態に発展することもあります。
いづれにしても、「感染被害」を恐れるあまりに生じる症状で、「1」も「2」も、身体の「免疫系」を損なうことから、ウイルスに感染(発症)しやすくなりますので、この症状に陥ると「感染の悪循環」をもたらす可能性が高まります。
***以上、回答内容***
ご多分に漏れずAさんのお店も、緊急事態宣言等の余波で休業や営業自粛が続いて、経営が大打撃。休業補償も、毎月申請しているものの3か月後の支給とか、極めつけは申請から2か月後に「書類不備」で却下されたりとか、踏んだり蹴ったりの様子。その苦悩を、折々の「お店ライン」で報告してくれていたので、心労はいかばかりかと心配していた。
つまり、上記の2つの症状をすでに発症しているといっても過言ではない状態だったのだ。
そんな折に「身近に感染者が出ました」などと「ウイルス感染」を心配しているようだったので、私としても「自分のことを心配しなさい」との気持ちを込めて上記のコメントを返したのであった。
コロナウイルスの被害(日本の累積人数)は、
- 感染して死亡(約1.5万人)、
- 重症化して苦しむ(約10万人)、
- 無症状だけれども隔離されて不便な生活を強いられる(約140万人)、
といった「感染者」が受ける被害に加えて、
- 濃厚接触者と認定されて自宅待機(休業)を強いられる、
- 感染者との関連を疑われて差別・偏見を受ける、
- 休業や活動自粛を要請されて収入が減少する、
といった社会的な被害もあるし、
- 感染症に罹患する恐怖や不安、
- 報道等の影響を受けてうつ状態に陥ったり怒りを覚えたりする、
- 自粛生活や対人交流の阻害による孤立感、孤独感、
- ストレス解消・心身解放の機会が奪われる、
などの心理的な被害も発生する。
また、「心理的症状」が進むと他者への発散やうっぷん晴らしを通じて「社会的被害の拡大」へとつながるし、4~10の社会的・心理的ストレスは、自身の免疫系機能を阻害して、ウイルスに感染(および発症)しやすくなってしまうのだ。
日本赤十字社は、昨年3月の段階ですでに、上記のような「悪循環」を広報して、その抑制に努めてはきたのだが、じつのことろは、皆さんもお気づきのように、「4~10」の「コロナ関連症状」は拡大がとまらない。その被害者は、コロナ感染者の10倍以上(私の見積もりでは3千万人超)にも及んでいると想定される。
きっと、皆様も、「身近な感染者」よりも「身近にいるちょっと心配な人」の方が、人数が多いのではないだろうか?
ぜひとも、「コロナ感染」だけではなく、それを排除・防御したい気持ちや恐怖・不安から生まれる「コロナ関連症状」にも、くれぐれもご注意いただきたく、お願い申し上げる次第です。
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男