東京オリンピックが始まった。
開会式ももちろん感動したのだが、驚かされたのは「自転車ロードレース」。
開会式の前日、妻と義母との電話に「交通規制」という言葉があったのが気になったのだが、翌日のラジオで、「相模原と山中湖を結ぶ道志川道路が規制されます」との情報。慌てて、コースを調べてみたら、なんと、東京(武蔵野の森)からスタートしたコースは、多摩ニュータウン~橋本を経て、道志川沿いに山中湖に向かい、そこから(男子は富士山中腹まで周回して)富士スピードウエイでゴールするというもの。
「自転車ロードレース」と言えば、10~30km程度の(山道を含めた)周回コースを何周かするというものしか知らなかったし、そう思い込んでいた。そういえば、「自転車ロードが大変」という言葉を関係者が漏らしていたのを思い出した。スタートとゴールが100km以上も離れたコースを走るなどとは想像ができなかったので、コース図を見ても、その意味を直ちには理解することができなかった。すでに数年前には決まっていたことなのに、知らなかったことを恥じるとともに、100km以上にわたる一般道路を規制して行われるロードレスなど、空前絶後(今後絶対に見ることができない)だろうと、「gorin.jp」で見ることにした。
ちなみに、その映像はNHK2020で公開されている。
https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/content/5ad76af9-a02e-423f-8b9e-b2b80b651985/
驚いたことは、その中継技術。数あるスポーツ種目の中で、自転車ロードレースが最も難しい(技術を要する)中継だということは、以前から聞き及んでいたので、どういうものなのかと期待していたのだが、想像を超えた素晴らしさ。日本語の実況もつかず、メディアセンターから配信される国際映像が流れてくるだけで、音声はカメラに収録される周囲音だけなのであるが、臨場感が素晴らしかった。
最高時速70kmにも達するレース中の選手の表情や動作(例えば、選手同士の会話やギア操作、あるいは後輪ギアが変わる様子)などを40kmの走行中にアップで映し出すカメラ技術には脱帽。各々のシチュエーションで選手がどのような行動をとるのか、また、レース中の駆け引きなども熟知したカメラマンがバイクの後部席から接近撮影するなどという技術は、日本のカメラマンには不可能だし、世界中でも数多くはないらしい。オリンピックの映像制作は、世界中から(カメラマンだけではなく、ディレクターやプロデューサーなども含めて)エクスパートが集結して実現するのだが、まさに、このロードレースの映像は、コースづくり(構想・設計・計画から規制・警備まで)と撮影・編集クルーたちの卓越した技術の賜物だし、リアルタイムで画面表示される競技情報(先頭と追走集団の距離や時間も含めた選手情報)も含めて、画面だけからすべての臨場感が伝わってきて、ゴールする選手に対して思わず拍手をしてしまうほどだった。
このようなすばらしいレースにリアルに興奮したことは、まさに今回のオリンピック開催の賜物だ。しみじみと、今回の東京開催が実現されて良かったと思う。
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