WWNウエルネス通信 (7月12日):「歩くだけでウイルス感染に勝てる!~その2~」

先週(7月4日)は、うっかり配信するのを失念していたので、今週は続けて配信したい。

さて、昨日は、「歩くだけでウイルス感染に勝てる!」と題する長尾和宏医師の著書について、私の思いを記したのであったが、じつは私は同書を読んで、「そういえば、ウォーク(運動)習慣者はコロナ感染率が低い」というデータは公表されているのだろうかと、この1年間に刊行された学術論文を検索した。そういえば、ちょうど先週の月曜日に一心不乱に論文を読んでいたのを思い出した。

結論から言うと、それは見つからなかった。

昨年1月以降にCOVID-19に関する研究世界中で精力的に行われていて、現時点まで(18か月の間)に刊行された論文は14万件余。その中には、「肥満者/糖尿病/高血圧/喫煙…」などの感染リスクが高いこと表すデータを論拠にしたものは枚挙にいとまがないし、「運動や身体活動の習慣者は感染しにくい」と論じている(長尾医師の著書の根拠となる)論文も数多くあるものの、新型コロナの感染者に対して「運動(ウォーク)習慣」を尋ねて、その比率を一般人と比較したデータが存在しなかったということ。

日本でも、PCR陽性者に対して保健所で問診(聴取)する際に「会食はしたか?」などと尋ねることはあっても、「運動習慣者は?」などと尋ねるのは、濃厚接触者を特定する目的とはかけ離れているからなのだろう。「運動不足/外出自粛/引き篭もり」などのリスク要因については、その危険を論ずる論文は数多あるのに、直接に問いかける対象にはなっていなかったということに気づいたのであった。

おそらく、科学者のだれもが、「検証するまでもないこと」と思っているのではなかろうか。

科学者は、「歩いている人は感染しにくい」ということを自明のこととして疑っていないから、わざわざ検証するまでもないことなのだろうけれど、「感染防止のためにウォークイベントを自粛(禁止)する」などというバカげた事態を容認しているこの国においては、そんな当たり前の結果が出るだけの調査であっても、とても意義深いことなのではないかと思う。

まあ、「歩くだけで感染しない」とまで言うのは暴論だし、「感染しにくくなる」という意味では、今のところワクチンに勝る手法は見つかっていないのだけれど、「歩いている人は感染しにくい」という主張は真実だと、私は確信している。

Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男

http://wasedawellness.com/

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