【9】「原因」を見抜く!!

 私が「過去の脳梗塞罹患」について語ったとき、なぜ、吉田篤史PT(理学療法士)は驚愕したのか。

 私のゴルフ技能向上のために、《筋膜》の観点からアドバイスしてくれる吉田PTは、私が主催する勉強会の場で私から小脳梗塞罹患の話を聞いたとき、「身震いしました」と打ち明けてくれた。それは勉強会の後の懇親会の場。

 「前から、中村さんは小脳に異常があるのではないかと思っていました。」

と言う。

 「前からって、いつから?」と問いかけると、

「最初からです」

 つまり、吉田PTは私が初めて相談に訪れた日の初見から、私の小脳機能に問題があるのではないかと疑っていたというのだ。

 「じつは、MRを撮った方が良いのでは、と提案しようと思ったこともありました」

と言うから、私もびっくりした。

 「7年前に小脳梗塞を患った」と私が吐露したのを耳にして、彼が「身震いした」と言ったのは、そのためであった。クリニックで指示した動作がなかなかできない私の状態を前にして、吉田PTは「鈍い」とか「運動音痴」と片付けるのではなくて、「小脳機能に異常があるのでは?」と見抜いたのだ。

私がゴルフを始めたのは、大学を卒業してすぐ、40年前のこと。

子どものころから「体育」は好きだったのだけれど、決して上手ではなかった。だから、一緒にゴルフを始めた友達が、「100を切った」とか「90だ」とかとスコアを向上させていくのにいつまでたっても上手にならないことには、何らの疑問も持たなかった。

でも、13年ほど前にゴルフクラブに入会して、その楽しさにはまってからは、様々な《理論》を学び、練習に励んだ。もちろん、それは「脳梗塞」を起こす前のことなので、上手にならなかったのは必ずしも脳梗塞だけのせいではない。

でも、「小脳梗塞を患った」ということは、「小脳の機能の一部が失われた」ということなので、通常の(大脳の)脳梗塞のようなマヒが残るわけではないとはいえ、運動機能がこれまで通りとはいかないということは当然のこと。

吉田PTは、私と出会った初見から、「小脳に異常があるのでは?」と疑ってはいたものの、確信が持てずにいたとのこと。でも、様々なアプローチでゴルフスウィングの感覚づくりを試すものの、私がそれに応えられない(なかなか上手にならない)ということに違和感を持っていたようだった。

だが「小脳梗塞罹患歴がある」ということがわかってから、吉田PTは小脳の機能低下を補うような体操技法やトレーニング法を示唆してくれるようになった。

医療に限らず、ゴルフのコーチングにおいても、「原因究明」はなによりも大切なのだ。

(続)

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