【8】「小脳の異常」との再会?

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 小脳梗塞を発症してから2か月後と8か月後。

《原因》となった小脳栄養血管の動脈乖離痕を発見してくれた東京医科歯科大学病院で、経過観察のためにMR検査をした。同じ状態を維持していたことから、私の小脳梗塞は診察終了となった。その後、私は再発の恐れを抱くこともなく、思い出す機会も次第に少なくなっていた。

だが、7年後、思わぬところでこの「小脳梗塞事件」に再会することとなった。

 その発端は、私が会長を務めている「早稲田ウェルネスネットワーク(WWN)」という、“健康づくり”を通じて充実した人生の実現を目指して活動している組織での勉強会。「筋膜マニュピレーション」という理学療法のスペシャリストであるPT(理学療法士)の吉田篤史氏を講師にお迎えした時のことだ。

 会の最後に、私は発言の中で過去の小脳梗塞の話を取り上げてみた。

 終了後、吉田氏は私に、

 「身震いしました」

と、驚きの言葉を漏らしたのだった。

 なぜ、吉田篤史PT(理学療法士)は驚愕したのか。

 そもそも、私が吉田PTと知り合ったのは、一昨年の9月のこと。私の知人から、「ゴルフを上達させるための身体技法」を伝授してもらえると示唆されて、彼のクリニックを受診した時が最初の出会いだった。

 吉田PTは最初に私のスイングを見ながら問診。ベッドに横臥した私の関節の動きと感覚をチェックしたのちに、スイングの基本動作(骨盤回転)と、その際の股関節への荷重感覚を伝授してくれた。

 そこで指導された「自分でできる動作トレーニング」は、自宅ではなかなか指示通りにはできなかったが、2度3度と通うたびに、それまで当たり前に知っていると思っていた生理学的知識と自分の身体感覚とのギャップに気づくようになった。

 吉田PTが筋膜マニュピレーション国際インストラクターであり「日本筋膜マニュピレーション協会」の副会長を務めていることを知り、《筋膜》についての専門書を読みあさりながら、受診するたびに色々と質問して、覚えたての知識を確認していった。

 もちろん、いくら学んでも、私が誰かを治癒できるようにはならないのだが、それでも、《筋膜》の生理学的意味と、治療アプローチの考え方については、少しずつ理解が深まっていった。

 一方、吉田PTは、私の身体の状態とゴルフの成果とを結びつけながら、「ゴルフ上達のための身体づくり」に精進してくれる。私の身体を触りながら様々な動作技法を教示して、私のゴルフパフォーマンスがより良くなるようにと知恵を尽くしてくれていたのだった。

(続)

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