さて、私の「小脳梗塞罹患歴」に驚愕した吉田PTは、その後も、私のゴルフパフォーマンスの向上を目指して、身体を触診しながら色々なアドバイスをしてくれる。もちろん、それは月に2回程度だから、その間には私の身体には様々な変化が生じる。
ある日のこと。私が急ぎ足で交差点を渡った際に、右膝裏に違和感を覚えた。
太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)に張りを感じたことから、急ぎ足で脚を強く使った際に、ハムストリングスが過度に緊張してこわ張ったために膝裏が引っ張られて痛みを感じるようになったのだろうと確信した。
つまり、ひと月ほど前(11月15日)の通信で述べたように、
・痛みの原因は痛い関節そのものではないことが多い。
・過去の様々な障害(傷痕)や疾病(ぜんそくなどの内部疾患も含む)が、現在の痛みの原因となることもある。
ということなのであるから、《膝の痛み》の原因が膝自体にあるわけではなくて、別の箇所(おそらくは太腿裏の筋)にあったということに違いない。こういうとき、普通の人ならば膝をさすったり、湿布を貼ったり、場合によっては医師から〈膝の水〉を抜いてもらったりするのかなぁ、などと思いながら〈膝ぐるぐる体操〉をやってみたり、歩き方に気を付けて脚に負担を掛けない〈ゆっくり歩き〉などを心掛けたりしていた。
いろいろな動き方や歩き方を試して、太もも裏のこわ張りと膝の痛みが少しずつ緩和していくのを感じながら、次の吉田PTの診察日を迎えた。
実は、その直前に、《小脳問題》を前提とした(ゴルフの)動作改善の指南を受けていたし、その2週ほどの間に2度ほどラウンドしていたので、その成果を踏まえて次の(ゴルフの)改善策を練ることを、吉田PTは期待(想定)していたはずなのに、吉田PTの前に立った私は、いきなり「膝の痛みとその原因(急ぎ足でハムストリングスにこわ張りを感じたこと)」をしゃべり始めたのだった。
私のその説明を静かに聞いていた吉田PTは、冷静に
「ゴルフはどうでした?」
と尋ねてきたので、そこで私は、前回の指導とその成果を思い出す(しゃべる)こととなった。
「では、ちょっと診てみましょう」
と、ベッドに横たわって診てもらう。片方ずつ脚部を動かして触診しながら、
「肉離れは起こしていないようなので、別の原因を探りましょう」
と、足から太腿・股関節と、筋膜の異常部位を探しながら、腹部~胸部へと触手が移行していく。胸骨(喉ぼとけとみぞおちの間)を触りながら、動かす指背の圧がだんだんと強くなっていく。
(続)