前回は、7年前に私が患った小脳の梗塞歴について述べた。
そして、先月開催したWWN特別サロン「筋膜マニュピレーションの実践技法」の場で私がそれ(小脳梗塞の罹患歴)を吐露した際に、講師を務めてくださった吉田PT(理学療法士)が「身震いしました」と驚愕したというところまでお話しした。
なぜ吉田PTは驚愕したのか。
私が吉田PTと知り合ったのは、昨年9月のこと。知り合いの紹介で、「ゴルフを上達させるための身体技法」を伝授してもらえると示唆されて彼のクリニックを受診した。
最初は、私のスイングを見ながら問診。ベッドに横臥して関節の動きと感覚をチェックしたのちに、スイングの基本動作(骨盤回転)と、その際の股関節への荷重感覚を伝授された。そこで指導された「自分でできる動作トレーニング」は、自宅ではなかなかできなかったが、2度3度と通うたびに、(それまで当たり前に知っていると思っていた)自分の身体感覚と生理学的知識のギャップに気づくようになった。吉田PTが「日本筋膜マニュピレーション協会」の副会長(&国際インストラクター)を務めていることを知り、《筋膜》についての専門書をあさりながら、受診するたびに色々と質問して、覚えたての知識を確認していった。当然に、吉田PTは、私の身体の状態と、ゴルフの成果とを結びつけながら、「ゴルフ上達のための身体づくり」に精進してくれる。今年の春からは、私の妻も通わせて、吉田PTの手による妻への処置を見学しながら、一つひとつ教えてもらっていた。
もちろん、私自身(ゴルフとのかかわり)と妻の症状へのアプローチに関することだけだから、いくら学んでも、私が誰かを治癒できるようにはならないのだが、それでも、《筋膜》の生理学的意味と、治療アプローチの考え方だけは、少しずつ理解が深まっていった。
その間、吉田PTは、私の身体を触りながら様々な動作技法を教示して、私のゴルフパフォーマンスがより良くなるようにと知恵を尽くしてくれていたのだった。
それはさておき、そんな吉田PTがどうして「驚愕」したのか?
WWN特別サロンの後の懇親会の場で打ち明けてくれた。
「前から、中村さんは小脳に異常(支障)があるのではないかと思っていた」
とのこと。
「いつから感じていたの?」
と問いかけると、
「最初からです。」
つまり、私が初めて相談に訪れた昨年9月の初見から、私の小脳機能に問題があるのではないかと疑っていたとのこと。
「じつは、MRを取ったほうが良いのではと提案しようと思ったこともあった」
というから、私もびっくりした。
指示した動作がなかなかできない私の状態を前にして、「鈍い」とか「運動音痴」と片付けるのではなくて、「小脳機能に異常が?」と勘ぐるところは、理学療法士としての彼の本来の姿なのかとも思う。そして、実際に、「7年前に小脳に脳梗塞を患った」と私が聴衆に吐露したのを耳にして、「身震いした」とのことであった。
(続)