昨日(11月8日)は、品川健康講座の3回目。
「長生きを愉しむ」と題して、奥田さんと二人で講座に臨んだ。
ちょうど、前週の木曜日に、WWN特別サロンと題して、
「筋膜マニュピレーションの実践技法」
について研鑽を深めたところだったので、奥田さんと相談して、「筋膜」の話を中心として話を進めることにした。
「筋膜」といってもピンとこない方もいると思うので、あわてて補足すると、筋肉に限らず身体のあらゆる組織は〈膜〉で包まれている。
というより、「筋膜」とは、各組織をつなぎ合わせる役割を果たす結合組織のことで、英語ではfaciaと表記して、筋肉を包む膜Myo-fasciaとは異なる(大きな意味をもつ)のだが、最初に「筋膜」と訳されてしまったので、いまではこの語が通用している。
それはさておき、ここでは誤解を避けるために、すべての組織に関わるfasciaを〈膜〉と表記するが、この〈膜〉には以下の3つの役割がある。
1)各組織を包んで、身体の組織間を結合する役割。
2)運動にかかわる筋肉(例えば、足・膝・腰や手・肘・肩・体幹など)を連結して、一連の動作を導く役割。
3)様々な感覚受容器(センサー)を包含して、運動に関する知覚や痛みを感知する役割。
その講座では、
「例えば、膝の痛みを訴えて検査してもらっても『異常なし』と判断されることもある。そのような時、じつは痛みを感じる箇所以外に〈痛み〉の原因がある事も多い。」
と冒頭で述べて、
「全身のすべての組織はボディスーツのような〈膜〉で包まれていてつながっていて、この〈膜〉が動きの力を伝えるのだけれど、力が集中するポイントがあって、〈いびつな動き〉をして変に力が集中すると、コラーゲンが変性して〈コリ〉(=動きにくいポイント)ができる。」
「動きにくいポイントができると〈いびつな動き〉が増幅されて、別の場所に〈コリ〉が伝搬する」
「〈コリ〉によって生じる力のひずみが、(主として関節にある)痛みポイントで関節痛などとして発現する」
と続けた。また、
「ちょっとしたこと(例えば深爪とか靴ずれなど)をかばう動きがあると、そのいびつな動きを代償するように全身の動きがいびつになる。それは、全身の筋膜のそこかしこの〈コリ〉としてその痕跡を残す。それは、あたかも〈膜の記憶〉のように、ある時思わぬ箇所に〈痛み〉として出現することもある。それを治すためには、その原因となった〈コリ〉を見つけてほぐしていくことが必要だ。」
と補足した。
厳密にいえば、このような乱暴な言い方はNGなのだけれど、これを踏まえて、
・痛みの原因は痛い関節そのものではないことが多い。
・過去の様々な障害(傷痕)や疾病(ぜんそくなどの内部疾患も含む)が、現在の痛みの原因となることもある。
と、痛みや苦しみの〈箇所〉と〈時間〉の一致性(因果関係)が必ずしも成り立たないこと、ひらたく言えば、痛みの原因は、別の場所や過去の出来ごとの場合もあるので、今痛い場所の痛みを鎮痛するだけでは本当の解決にならない、ということから、講座を始めた。
(続)