WWNウエルネス通信 (11月1日):高血圧は「結果」であって「原因」ではないのだ

前回、「血圧は、その時の身体の状態を表す《結果》なのだから、その時々の結果をそのまま受け入れるのが、正しい態度」と述べた。

 思えば、「血圧が高い」と知ったとき、普通の人はどのように対応するのだろうか。

 もし、定期検診で「血圧が高いですね」と指摘されたとしたら、一般的には「お医者さんに診てもらってください」と受診を進められて、そのまま受診&降圧剤処方を受けるのではないだろうか。そして、そのまま降圧剤を飲み続けることになる。

 前々回(この話題の初回)で述べたように、ほとんどの高血圧は生活習慣に起因するもの(生活状態に適応した身体の状態)だというのに、どうして「薬で下げよう(下げたほうが良い)」という発想が生まれるのかは、私としては、はなはだ疑問だ。

 私が先々週に申し述べた「155/115mmHg」という血圧値は、私の生活状況に適応した「結果」なのであって、薬で下げようなどと言う行為は、その結果の《改ざん》なのではないかと思う。

 よく言われるのは、

 「高血圧状態は心臓にも血管にも負担をかけるので、心疾患や脳血管疾患の原因(死因)になる」

という説明。

 つまり、高血圧状態が生活習慣状況の「結果」だという考え方はさておいて、死をもたらす病変の「原因」となるということが強調される。そしてその「原因」を治癒すれば問題が解消すると説明されるのだ。

 たとえ話をお許しいただいのだが、例えば、大学受験を控える高校生が模擬試験の成績を高めようとするとき、どうすれば良いのだろうか?

  A)「勉強する」

  B)「出そうな問題を事前に教えてもらう」

  C)「結果の数値を書き換える」

 模擬試験の結果と言うのは、その時点での受験生の能力を反映する数値なのであり、だからこそ、そこから「合格可能性」を推定できるのだ。

学校の授業で学んだことを考査する定期試験では、学んだ範囲とテストする内容が予めわかっているから、上記で言えば「B」のようなもの。

だから、わざわざ出題範囲が特定できない模擬試験のことを「実力テスト」などと表するのである。

その結果を改ざんする「C」などというのはとんでもないとしても、「B」のように出そうな問題を教えてもらって高得点を取ったとしても、本番入試の問題を知ることができないのなら意味はない。

 つまり、この場合は「勉強する」という地道な(しかも結果がすぐには現れない)努力しか、解決の道はないのだ。

その際、自分には何が欠けていて(これが「生活習慣」に相当)、何をどのように勉強すればよいのか(改善法)を探求することはとても意味深い。

 「血圧が高い」という状態に向き合う時、原因となった生活習慣に向き合って、それをどのように改善すればよいのかを探求することが、「地道な勉強」に相当する。

 何度でも言うが、「血圧が高い」のは本人の「生活習慣環境」の結果なのであって、根本原因を改善しないで「血圧値」という値だけを良く見せかけるのは、模擬試験の点数だけを高くするようなことであって、本質的な解決法とは言えない。

 高血圧で処方される薬の作用は、「血圧を下げること」であって、「高血圧状態をもたらす原因を治すこと」ではないのだ。

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