【12】オンラインプログラムの要件(2020年8月18日)

 前回、「新常態のフィットネス」について問題提起を行った。

 今般のコロナ禍で、「新しい生活様式」が模索されるようになったが、それは必ずしも「感染防止」の観点から求められるものなのではなく、21世紀の最初の20年間でゆるやかに変革してきた世間の変化が一気呵成に発現しただけのことで、「非接触/オンライン化」の流れは元に戻ることはない。それゆえ、これからのフィットネスの世界も、「非接触/オンライン化」の流れの中に位置づけられるということである。

 フィットネスの分野でオンライン化の波に乗ったのは、JWIもその中核を担っている教育指導の分野であるが、実技指導の現場でいえば「ヨガ」のオンラインプログラムがコロナ禍の期間に急激に普及した。また、JWIがチャレンジしているように、これまでスタジオ等の施設で行われていたフィットネスエクササイズプログラムの多くが、オンラインで配信され始めている。

 フィットネスのオンラインプログラムには、Youtubeなどに動画を保存して、利用者の都合の良い時間に利用する「アーカイブ型」と、zoomなどのミーティングツールを利用して定められた時間に双方向通信で実施する「ライブ型」に区分できる。指導する情報が一方通行で済むのであれば「アーカイブ型」で十分だし、「ライブ型」の機能が生きるのは、お互いの映像・音声が相互に届きあうことである。そこでは、インストラクターの動作や音声が相手に届くことももちろんであるが、相手の動作や体調をインストラクターが把握できることも重要であり、参加人数が多くなると、ついつい参加者の状況を把握できないままにプログラムを進めてしまうこともあるかもしれない。つまり、「オンライン」だといっても、スタジオプログラムと同様に、《会場の広さ=参加者数》に応じた熱気を醸し出せるかどうかが、プログラムの肝になるといえる。

 それはさておき、例えば、ラジオ体操の《指導》の場面を思い起こしていただきたいのだが、そこで伝搬される「正しい技法」の中には、「1.伸びの運動/2.腕を振って脚を曲げ伸ばす運動/~/13.深呼吸」という、「動作の順番」もあるが、「1.伸びの運動」においては、「腕をよく伸ばして、ゆっくり高く上げ、背すじを伸ばす」といった、「動作における意識」も含まれる。さらには、「脚を元気よく動かし全身の血行を促す」といった「運動の効果」に関する知識も含まれる。でも、行われている「運動・動作」は、誰がやってもどこでやっても、いつでも同じ音楽に合わせて同じ動作を行うのである。そして、動作の順番を示すインストラクションも音楽とともにラジオから流れてくるから、「指導者」は、台の上で参加者に向かってミラーイメージで模範動作を行うだけで済む。

 では、エアロビクスのインストラクターの場合はどうであろうか?

(続)

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