先回は「新時代に向けたフィットネス根本原理の変革~その2:《指導》から《教育》への転換~」と題して、「そもそも指導者という日本語がどのように用いられてきたのか。体育・スポーツの指導者はleaderというよりもinstructorという意味で用いられていた。」ということを述べた。それに続いて、フィットネスの分野でのinstructorに求められる役割の変革について記述するのが今回の役割であった。
が、今はちょうど、「緊急事態宣言」が解除されて「新常態(ニュー・ノーマル)」が模索されている喫緊の時期なので、あえて、緊急に「新常態のフィットネス」についての話題を差し込みたい。
前置きが長くなったが、要点を述べると次のようになる。
- 今年春から生起した様々な社会環境・生活様態の変化は、コロナウイルスの《せい》で(その対策として)起こったことばかりではなくて、そのほとんどは、「数年後に起こるであろう変化が一気に先取りされた」ということ。
- 今模索されている「新常態」は、「コロナウイルス感染予防」という観点から求められるというわけではなく、時代の流れの中であらかじめ準備されてきて、もしコロナ禍がなくても10年後には当たり前になっているであろうと想定された「常態」である。
- その新常態を表すキーワードは、「非接触/オンライン」であり。フィットネスの分野にも当てはまる。
- これに対応して、従来の施設中心のサービスはニーズを減らして「オンライン型」が流行ってくるが、「施設型サービス」については、「非接触」を中核とした新たなサービス(プログラム)を開発することで、新たなニーズを取り込めるようになる。
まず、この新たな生活環境が「コロナウイルスのせい(コロナ対策としての変化)」ではないという考え方であるが、たとえば、私の大学では、今期の授業がすべてオンラインで行われた。昨年度までは1%程度の授業でしか行われていなかったので、多くの教員は戸惑いながら模索して、学生の中には「コロナ」を恨む者もいた。でも、私がWebから学んだ情報のすべては、本学が昨年秋から用意していたinstruction情報であり、コロナ禍対策として用意されたものではない。JWIの「オンラインプログラム」も、確かに今回のコロナ禍に対応したものなので、「急ごしらえ」の感を抱く方がいるかもしれないが、オンラインプログラム自体は昨年来から移行してきたことであったし、JWIのプログラムが元の「直接対面型」だけに戻ることはあり得ない。
企業のテレワークだって、「これまでなかなか進展しなかったのに、今回一気に普及して嬉しかった」と漏らす経営者もいる。ディズニーランドが厳しい入場制限を課して、「専用の日付指定チケットの予約が必要」とのことで、チケット予約サイトへのアクセスが殺到したようであるが、「入場制限(当日チケット販売の中止/混雑時に入場制限されるチケット)」自体はこれまでも行われてきていたし、その《制限》のレベルを調整しただけのこと。要は、スタジアムにしろ文化施設にしろ、「満員」になれば入場できない(入場制限する)という事態があったことは、古今東西当然のことであった。つまり、結局は「満員のレベル設定」の問題だけなのだ。
2,3,4については、詳しく記載するスペースがなくなったけれども、「非接触/オンライン」というサービスの変革(新常態)は、これまでに準備されてきて、数年のちには当たり前になる変化の結果なのだ。そして、フィットネスの施設も、あらゆる文化・スポーツ・教育施設と同様に、そもそもこれまでの混雑を喜んでいた顧客はいないはずで、ゆったりとくつろぎながらサービスを享受することは、従来においても望まれていたことなのだ。つまり、今回の騒動によって皆が気づくのは、「これまでが混みすぎていた」ということであって、「3密」などという言葉が流行る前から、世の人々の潜在的ニーズだったのだ。
それはさておき、これからのフィットネスは「非接触/オンライン」をキーワードとして進められる。従来の施設型プログラムにおいては、混雑のないゆったりとした空間が提供されるであろうし、多くの参加者を集めるプログラムはオンラインへと移行する。
そのような時代にどのような《指導》が求められるのかということが、次の問題である。
(続)
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