【3】今できることは何か!(2020年4月7日)

4月は新入生の季節である。私が所属する早稲田大学では、入学式が中止となり、授業の開始も5月以降となったが、私たちは学習環境の喚起に向けて日々業務に励んでいるところである。

ところで、早稲田大学大学院には、社会人(実務家)向けの様々なコースがあるが、わがスポーツ科学研究科にも、「スポーツマネジメントコース」という実務家向けの1年制プログラムが開設されている。毎年一流の実務家が入学してくるのだが、15年目の今年の華は大相撲の荒磯親方(元横綱・稀勢の里関)だろう。公式の入学式は行われなかったが、指導教授との“ツーショットの入学式”が新聞で報道された。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200402-00000065-spnannex-spo

 荒磯親方の研究テーマは「大相撲部屋のマネジメント」なのだが、コロナウイルスに立ち向かって「無観客場所」にチャレンジした大相撲協会の取り組みなどの検証も、研究テーマとして興味深いと期待している。

 先の記事では、平田竹男教授の「授業」が4月1日にも行われたと報道されたが、じつはどの先生も合格発表後の2月から少しずつ準備を始めていて、4月の入学前に研究に着手できるように《事前ゼミ》を行うことが通例である。私は、「健康スポーツマネジメント」というコースを担当しているが、私のゼミでも、2月から3回のゼミ指導を行ってきたところである。だから、正式な授業開始が5月にずれ込んだと言っても、2月から始めてきたゼミはずっと継続して、学習・研究に支障をきたさないように進めている。

 「健康スポーツマネジメント」の入学要件は、

①運動指導・栄養指導・健康教育等の健康増進の分野での3年以上の実務経験を有する者。

② 一般企業等において5年以上の実務経験を有し、健康スポーツマネジメント関連業務への従事を予定する者。

③ 医師・保健師・看護師・理学療法士・作業療法士等の医療関係資格を有する者。

となっていて、フィットネス関連企業の役員や健康運動指導士・トレーナーなどの他、理学療法士や栄養士・保健師・柔道整復師・鍼灸マッサージ師といった医療職の従事者などがこれまでに学んできた。今年は、理学療法士1名とトレーナー1名(計2名)の少数精鋭で、彼らが従事している現場での職務技能を向上させることを目指して最先端の知識や技能を伝授しようと、今から腕まくりをしているところである。

 もちろん、フィットネス指導者の皆様にとって、わざわざ大学院(学位)のハードルを越えることにこだわる必要はないが、今このような時期だからこそ、例えば、

  • 今回のウイルス対策としてフィットネス業界は何を行ってきたか、また何を行うべきであったか。
  • ウイルスに負けないフィットネス業界にするための方策。
  • 顧客の運動実践意欲を向上させる方策。

などなどについて研究してくださるかたが出てきてほしいし、“研究”などと大それたことでなくても、この機会を利用して様々に勉強して、見識を深めていただきたいと思う。通常業務がなくなって暇ができたとき、その時間を将来のために如何に有効に活用できるのかということが、私たちの将来を決定づけるのだと確信する。

・フィットネスは今、人々のために何ができるだろうか?

・また、指導者にとって「今できること」はいったいどのようなことなのだろうか?

フィットネスの世界の広がりは、今見えている以上に大きいのだから。

(JWIコネクトに連載中。閲覧はアプリから→ https://yappli.plus/jwi_sh

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