新型コロナウイルス禍については、海外での感染拡大は続いているものの、一斉休校要請が解除されるなど、日本での対策には落ち着きが見えてきた。3月19日の専門家会議では、全国規模の大規模なイベントの開催は、主催者がリスクを判断して慎重な対応が求められると警戒の姿勢は崩していないものの、「感染が確認されていない地域は、学校活動や屋外でのスポーツ観戦、文化施設の利用など感染拡大のリスクの低い活動から解除してもよい」とされた。フィットネスクラブの中にはスタジオプログラムを自粛したり全館休業するところもあったが、各々で正常化に向けた取り組みが進められているようだ(※1)。
これに先駆けた3月14日の安倍首相の記者会見でも、「集団での感染が確認された事例の共通点」として
1.換気の悪い密閉空間。
2.人が密集していた。
3.近距離での対話や発声が行われた。
の3つを挙げて、「これら三つの条件が同時に重ならないように対策を講じることで、感染のリスクを下げることが可能です」と表明されるとともに、「健康管理、ストレス解消のためにも、人が密集しないようにするなど、安全な環境のもと、屋外に出て、運動の機会も作ってください。」とも呼びかけられた。
ところで、適度な運動は、健康の維持増進、ことに免疫機能の向上の観点からも好ましい行為なのに、「感染予防」のためだといって大切な健康増進の機会が奪われてしまっていたのは皮肉なことだ。多くの方々は、自身の感染(健康状態の阻害)を心配しての行動だったのだと思うのだが、「運動をしないリスク」の方が甚大だと思う。フィットネス関係者の一人として、私は、「危ないから自粛」「スタジオプログラムは中止」という選択に身をゆだねるのではなくて、「どうすれば安全なフィットネス環境を提供できるか」ということに全力を尽くすことが、私たちに与えられた責任と使命だと思う。
とはいえ、これだけ世界的に拡大して「パンデミック」と言われる状況だし、「致死率は季節性インフルエンザの10倍」という指摘もあるほどなので、決して予断を許さないが、人々の暮らしを豊かにする《フィットネス》の機会が制約されている現状は、一刻も早く是正(正常化)されるべきである。
その意味で、先に安倍首相が表明した、「これら三つの条件が重ならないように対策を講じることで、感染のリスクを下げることが可能」という言葉はとても心強く感じるし、多くのフィットネスクラブが「如何にして感染リスクを低減するか」に腐心して、クラブ環境の正常化に努めてくださっていることを嬉しく思う。この記事をご覧になった皆様も、「運動の機会も作ってください」との安倍首相の呼びかけを大義にしてほしい。
「フィットネスは安全安心です」
と、胸を張って言えるようにするのは、私たちフィットネスに携わるすべての関係者の責務なのだから。
(JWIコネクトに連載中。閲覧はアプリから→ https://yappli.plus/jwi_sh )
※1:3月初旬(4~10日)は、多くの大手フィットネスクラブが休業したが、11日以降は、少しずつ営業再開するクラブが増えて、どのクラブも4月以降の通常営業を目指して準備を進めている。