2019年12月29日
さて、「間違いだらけのウォーキング~歩き方を変えれば痛みが取れる~」の著者木寺英史氏は、どのような歩き方(指導法)を提唱しているのでしょうか。
まず、「立ち姿勢」をマスターするところから木寺氏の指導が始まる。
- 足を肩幅よりも少し狭くして足先をやや開く。
- 膝を少し曲げる。
- おなかを引っ込めてお尻が少し後ろに出るようにして、その上に楽に上体を乗せる。
- 足裏の荷重は、拇指球ではなく足裏外側(両かかとから小指球)に感じるように立つ。
この姿勢(外旋立ち)から片足ずつ上下して交互に足踏みすると、少しずつ前進するとのこと。(実際には周囲の感覚を隔絶して足踏みすることはできないので、“前に進む”という意識のせいで進んでしまうのかもしれませんが、私が室内で目をつぶって試しにやってみたところ少し左回転しながら10cmほど進んでいました。)
ともあれ、上記の姿勢から片足を持ち上げて前に倒れるように足を踏み出すと、簡単に“前進”します。次に、持ち上げた足と反対側の足のかかとを踏むと同時に膝を抜くと、もっと楽に“前進”します。これらはいずれも、足で地面を蹴って進むのではなく、“重力”を利用して前進することから、足膝に負荷を与えずに楽に歩くことができるようになります。“膝を抜く”という感覚がつかめない場合は、段差が低い(10~15cmの)階段を下りながら試すと、膝を抜く要領がつかみ易いとのことです。
この「膝を抜く歩き」をマスターしたら、「上半身を使う」歩きに進むそうです。胴体の動きもあるようなのですが、肩をゆるめて「肩を使う」動きが最も重要です。上述の外旋立ちで両腕の力を抜いて「だらっと」下げてその場で(膝を抜いて)足踏みをします。肩のリラックスができていると、足踏みに合わせて左右の方が交互に上下します。その感覚が生まれてきたらゆっくりと歩き始めると脚の動きと腕の動きがほぼ一致して、肩が進行方向に向かって前進するように回ってくるとのことです。これは同側の手足が一致する歩行なので「順回転ナンバ型歩行」というそうです。
その歩き方で進みながら下方向に下がっていく手を前方に振るようにすると、手と肩が進行方向に向かって逆回転して、右手と左足左手と右足がほぼ同時に同方向に動く「逆回転交差型歩行」に変わるそうです。その時、「あごを少し前に出して上げる」ようにすると、肩甲骨周りの筋群がリラックスできるそうです。
色々と多くのことを記してしまいましたが、木寺さんの著書にはもっと回りくどく様々な体験試行が記述されていますので、「結局、どう歩けば良いの?」という疑問に簡潔に答えてくれる記述には出会わないのですが、あえて私がまとめると、次のようになるでしょう。
- リラックスした外旋立ち姿勢(上記1~4)を取る。
- 上体をやや前傾させて膝を抜く感覚で前に進む。
- 肩をリラックスさせて、腕を前に振る。
文字だけで動作を伝える(できるようにする)というのは至難の業なのですが、木寺式歩き方の要点は「膝を抜く感覚で前進する」というところなのかもしれません。
Wasedaウェルネスネットワーク会長・中村好男
